グランドスラム決勝と言うもの

 その昔に錦織が全米決勝に負けた時に、家内に「最初のチャンスを生かせない人は、このまま優勝できずに引退することになりそうだね」という話しをしました。

 世界1位になるような選手は、往々にして最初のチャンスをモノにして一気にトップに駆け上がります。

 筆者がテニスを始めた頃はベッカーが1位でしたが、彼は86年の全英で初めて決勝に進出しマッケンローを破って上がってきたカレンを撃破して17才で優勝しました。1位になるのには少し苦労しましたが、初めての決勝で初優勝しました。

 そのライヴァルであるエドバーグは、85年の全豪が初めての決勝で同国人のビランデルを破って初決勝で初優勝しました。

 その次の時代を代表するサンプラスは90年の全米で初めて決勝に登場しライヴァルのアガシを破って初優勝しました。

 で、アガシは90年の全仏が初決勝でゴメスに負け、同年の全米でサンプラスに負け、翌年の全仏決勝でライヴァルのクーリエに負け、決勝3連敗をして一時はそのまま消えるかと思われました。が、92年に苦手と見られた全英でビッグサーバーのイヴァニセヴィッチをフルセットで破って初優勝しました。

 さて、ライヴァルのクーリエですが、上述の91年の全仏を初決勝で優勝し、一気に世界1位になりました。

 フェデラーは2003年の全英が初決勝でフィリッポーシスを破って初優勝、翌年の全豪で1位になりました。

 その前にいるヒューイットは2001年の全米が初決勝でサンプラスを撃破して初優勝しました。

 同じ時期のクエルテンは97年の全仏で「1回戦で負けると思っていたから着替えを持ってこなかった」と連日、同じTシャツを着て戦い初決勝で初優勝しています。

 フェデラーのライヴァル、ナダルは2005年の全仏が初決勝でフェデラーを撃破して初優勝しました。

 こうして改めて調べてみると、直感に一致して、多くのチャンピオンは最初の決勝をモノにしています。例外はアガシ一人だけなのです。

 それを踏まえて今の現役選手を見ると、錦織は初決勝でチリッチに負けた後は低迷。今の調子ではもう一度決勝に登場するのも難しいでしょう。

 ズベレフも20年の全米決勝で負けた後は決勝に出てこれません。

 チチパスも21年の全仏決勝で敗北、今年の全豪決勝で敗北しており、悪いコースに入った印象があります。

 メドベージェフは、19年の全米でナダル、21年の全豪でジョコヴィッチに敗れて苦労人コースに入りましたが3度目の正直、21年の全米でジョコヴィッチに勝って初優勝しました。やっぱり、3度目くらいで勝ちたいものです。

 キャスパー・ルードは非常に好きな選手なのですが、22年に全仏、全米の決勝でナダル、アルカラスに敗北、さらに今年も全仏決勝でジョコヴィッチに敗北して悪いコースの王道を歩みつつあります。アガシのように4度目の正直となるか?

 ここらへんが賞味期限のような気がします。