5月のNHK杯囲碁トーナメント

 第1週は台湾の李沂修八段と韓国の洪爽義五段。

 李八段は6年ぶり5回目だそうですが、お顔を拝見した記憶がありません。洪先生は5年連続5回目だそうです。

 同じ5回目と言っても、関西棋院12人枠を5年連続で突破してきている洪先生の方が明らかに「打てている」感じで危なげなく勝ちました。李八段も薄い碁ながらも綱渡りで着いていきましたが最後は綱から落ちての投了図。

 解説は大橋七段でしたが、落ち着いた感じでした。ところどころ手処で「切られたらどうするつもりなんでしょうね?」などと不安な様子。安田さんにそこを聞いたら解説者の基本機能を満たしていないのではないかと少し減点。

 第2週は孫喆7段と牛栄子女流最強位。

 解説は八段五人衆の一人鈴木八段。二年ぶりですがやりますかと、いきなり「バランスチャート」のポーズをとって始めました。

 師匠にいただいたスーツと、妻にもらったネクタイで決めてきた孫喆君が積極的に打ち回して少しずつ優勢を確保し、途中で意外に差が開いたこともあって中押し勝ちとなりました。

 鈴木八段の解説はなかなか良かったです。彼も「いま打てている八段陣の一角」であることを証明したように思います。

 牛さんの負けが遅い特徴は良く出ており、孫喆君も勝勢になってから牛さんの嫌な所に仕掛けてくる勝負手に悩んでいるのが良く判りました。自分が打っていても、こんな所に置かれたらイヤだなぁと思いながら見ていました。

 第3週は蘇陽国九段と沼館沙輝哉七段。

 沼館君も気が付けば七段、解説に本木八段が出てきて兄弟子ですと言うので、そうか年上なのかと驚きました。藤沢一門では寺山、沼館、本木と並ぶ(入段順)のですね。その下に新人王の広瀬七段、上野愛咲美、そして関航太朗と並びます。すごい一門です。

 本木解説者が蘇九段は自由に打つ棋風と紹介していたら、いきなり初手高目、三手目に大高目。それに沼館君が星に掛かって自由な世界になりました。そんな風に打ってもいきなりAI評価が暴落したりする訳でもなく囲碁と言うのは広いゲームなのだなぁと思いました。

 第4週は、関西棋院の16才、表悠斗二段が登場。対するは横塚力七段。

 解説は、どう考えても表君が上座なはずはないのに関西棋院谷口徹先生。新春企画以来の登場です。表君が院生時代の院生師範ということで呼ばれた模様。解説ぶりは非常に良かったです。

 碁の方はちょっと変だったのが、最後に横塚先生が半劫を譲って終局したのですが、作ってみたら黒の半目負けでした。譲ってはいけなかったようです。目算違いですね。

 谷口解説者は「半目勝負、最後右下の半劫になりますね」と言っていたので一人だけ正確に数えていたようです。聞き手の安田さんは「ぜんっぜん判りません」と投げ出していました。

 概して女流棋士の聞き手は目算が苦手な人が多く典型は万波さんでしたが、安田さんもかなり苦手なようです。先日の捨てるのを極度にいやがるなど、全般的に明るくない感じで、まぁそのくらいの実力かと少し失望しています。

 計数的な部分が強い女流棋士と言うと「半目の女王」藤沢がいますが彼女は別格でしょうか。 あと読み上げに最近、森智咲さんが登場するようになり辻華さんのフル回転体制が緩和されたようです。

 3年後くらいの話しになるので鬼が笑いますが安田さんの次の聞き手は辻さんでしょうか?