11月のNHK杯囲碁トーナメント

 10月の最後は、藤沢里奈が一度も勝ったことがないという余8段を相手に稼ぐだけ稼いでのシノギ勝負から、ヨセ勝負に持ち込んで「半目の女王」の異名通りに半目残しました。

 解説はまたしても緑星会の青木先生で、余8段も緑星会包囲網に沈みました。
 ヨセに入った所で形成判断した青木先生がコミに掛かりそうですねと宣言し、その通りでした。最後まで半劫を争ったのですが終ってから星合さんが「争わなくても勝っているのになんで一生懸命争っているのかと思っていました」と告白したので、どうも星合さんは計算を間違っていたようです。

 11月に入って富士田-大西戦は、小池7段の初解説でした。立て板に水と言うタイプではありませんが、朴訥な解説ぶりは「それはそれで好感を」持てました。碁の方は兄弟子の富士田君が快勝しました。
 11月の第2週は問題の名古屋でしたが、当方の強い反対にも拘わらず下島先生が再登場。強い抗議の意思を持って視聴ボイコットしました。終わる頃に勝敗だけ知りたいと思って点けて見たのですが、志田8段の半目でした。平田君が初戦を終った時のインタビューで予想していた通りです。下島先生は、今年は大きなチョンボはなかった模様ですが、それでも解説ぶりが好きになれません。と言うか、悪いイメージでインプリントされてしまったので、普通の出来栄えくらいでは申し訳ないけれどリライトされんのですわ。
 志田君が勝ったので、まだ名古屋対局があることになり、今度こそは羽根先生でしょうか?

 第3週は、山下-鶴山戦でした。剛腕対決という感じですが、期待に違わぬ譲らぬ力戦となりました。蘇陽国先生の解説でしたが、こういう力碁の解説には不適任だったかなと思います。河野九段とか淡路九段とか井山本因坊とかが良いのですが、なかなか上手く行かないものです。
 11月の最後は、井山王座と関西棋院の秘密兵器、田中4段でした。井山先生の呼称が「王座」と言うのはすごく違和感あります。棋聖に続いて本因坊失冠はまさかの出来事でした。
 解説は石田永世本因坊です。今年も下期に入ってすぐのご登板となりました。決勝戦のレギュラー解説者と言う立場からは降りられたのですね。北の富士さんと同じでしょうか。
 碁の方は大技が決まらず、そういう意味では石田先生好みの碁でしたが、井山先生がじわじわとリードを広げて行って快勝しました。まだまだ強いです。
 12月の最初は余8段に初勝利して勢いに乗る藤沢が登場。解説は孫喆8段でした。
 途中の上辺の打ち込みを見て、星合さんが「わたしはケンカが好きなので、こんなのには怒っちゃうんですけど」と言ってから、「どうしてそこで大きく頷くんですか? 視聴者の方には見えてないと思うんですけど」と言っていました。その後で孫先生が、「いや、この場面ではそう思う人の方が多いと思いますよ、白石が多い場所ですからね」とフォローしていたのが可愛かったです。
 中盤までは差が付かない碁でヨセ勝負かと見られましたが、左辺で藤沢が白の一団を取った所で優勢に。以後は優勢をきちんと守り切り、小差の碁ながら鈴木8段が投げました。投げられても両者とも驚きはなく形成判断が一致していたのが良く判りました。藤沢は初めてのベスト8進出です。