×グラーフツェッペリンを読む

 高野史緒さんその2です。

 硬式飛行船、ツェッペリン号は本当に世界一周の時に土浦に来たのだそうです。

 その瞬間に二つの世界が分岐したという設定で、それぞれの世界に属する夏紀と登志夫がリンクして飛行船を見た記憶の絆で結ばれる話しです。

 モチーフが非常に好みなのですが、残念ながらストーリーは面白くなりません。最後はちゃんと着地するのですが、なんとなく映画「サマーウォーズ」の中途半端なノヴェライゼーションみたいな感じです。田舎の話しだし、並行宇宙の二人が繋がる話だし、VRの話しだからです。

 うーん、高野先生その3に進むかどうか、ちょっと悩ましい。

 それはともかく、茨城会の第2会場である亀城プラザとか出てくると、ちょっと嬉しいです。

p9

 私は藤沢夏紀、茨城県土浦市生まれで、今も土浦に住んでいます。公立の女子高(我々の宇宙の現在の二高は共学です)、土浦第二高等学校の生徒です。

p10

 太陽が低層ビルや住宅の陰に隠れようとしている頃、夏紀はその夕陽を背中に浴びながら、亀城公園の丘の上に立っていた。

p92

 館内には飲み物の自動販売機が設置されているし、マクドナルドやスターバックス、河内薬品(ドラッグストアだが、事実上ほとんどスーパーマーケット)や山新(かなり大きなホームセンター)には、皆、自分で行きたがった。

p163

マンデラ効果? マンデラって、あの南アフリカ共和国ネルソン・マンデラですか?」

「そう。これも都市伝説よりの話になるだけど、ネルソン・マンデラは反アパルトヘイト活動で当時の白人政府に逮捕されて、1960年代から90年代まで収監されている。その後、大統領まで上り詰めた人物だ。しかし、2010年頃、ネット上で、マンデラが80年代に獄死しているという記憶を持っている人が結構な数いることが分かった。マンデラ効果というのは、こういう事実と違う記憶を大勢の人が共通して持つことを意味するすらんぐだったんだが、その後ミームにまで昇格した。日本でも、「天空の城ラピュタ」や「千と千尋の神隠し」にテレビでは放送されない別ヴァージョンのエンディングが存在するとか、そういう話は聞いたことがないかな」

p317

「もともと、電磁気的な異常が東アジア、おそらく日本の近辺にあることは十年ほど前から知られていました。そしてごく最近、細密な観測が可能になったことによって、もしかしたら我々に対する諜報活動の結果として、夏紀さんのことに気づいたようです」