べらぼう 第33回 打壊演太女功徳を見る

 とんでもない所で切れたので、引き続き33話です。

 新之助の打ち壊しは、とりあえずルール通りに、店の戸や棚を破壊して、米俵を裂いて米を川に捨てたりすれども、盗んだり店の者を傷つけたりせずに進んでいきます。

 しかし、おていは「米がないからの打ち壊しなのに米を捨てるのでは本末転倒」とまっとう至極なコメントをします。

 当月の番方である北町奉行所は、老中たちから切り捨ててしまえなどと乱暴な指示を受けますが、幕府開闢170年で、既に多くの武士は人を斬るどころか、刀を抜いたこともないので、そんなことはとてもできません。

 一方の打ち壊し方に紛れ込んだ丈右衛門だった男は、奉行所の前で声を張り上げます。「なに、奉行所様は、米がなければ犬を捕まえて食えと仰せか!」と、ありもしないでっちあげで奉行所への民衆の憤りを煽ります。

 蔦重と新之助は止めさせようとしますが、男の扇動に石を持って奉行所に投げ込もうとする人々も出て来て近づけません。そんな時、振り向いた男の胸に深々と矢が刺さりました。

 幕府の緊急出動により馳せ参じたお手先組の長谷川平蔵(大富豪同心)です。

 かくて男による扇動は食い止められ、打ち壊しは元の秩序を取り戻したのでした。

 しかし、蔦重をかばった新之助は落命してしまいます。本人は、何も出来ぬ人生だったと言いますが、やってきた歌麿が「好きな女ができて、その女と駆け落ちして暮らしたのだから苦労はあったかも知れないが幸せだったのでは」と慰めます。まあ、そうですよね、吉原の花魁と神隠しにあって子供まで作ってと言うのは、最初に吉原に身請けしようと談判しに行った時には想像もできない成果だったと思います。

 ところで、幕閣。

 定信の老中就任に大奥が難色を示している訳ですが、その中心人物である高岳の所に、最近赤丸急上昇中の大崎がやってきて、私の手元にこのようなものが‥と出して見せたのは、先代西の丸が鷹狩りの時に噛んで落命した特注の手袋です。高岳は考え込みます。

 老中部屋に、大奥が定信の老中就任を認めたという報が入ります。脅しに屈したのです。

 かくて定信は老中に‥ということで、一橋様は定信に訓示を与えようとしますが、なんと本人が「この話しはなかったことに」と言い出します。

 平の老中では思うように動けないので、老中首座にして欲しいというのです。

 さしもの一橋様も「それは今は難しいであろう」と難色を示します。定信は「そこを一橋様のお力で」とさらに押しますが、それに対して「では、田安藩を幕府に献上してはどうだろう。十万石を上様にお返しすれば幕政の大きな助けとなり、それをもって首座の位置をいただくのじゃ」

 しかし、今度は定信が考え込みます。もともと西の丸様の代になったら田安家を復興してもらう約束で幕閣に入ったのに、首座になるために藩を献上してしまうのでは本末転倒です。これには、簡単にOKできません。一橋様の狙いは、一橋様が断ったのではなく、定信が自分で諦めたことにしたいのでしょう。上手い所を突いてきたものです。