アレクサンドロスの遺産+ルールを読む

bqsfgame2005-05-03

先日なくなられた越田一郎さんの一作。以前にも読んだことがあるのだが、この機会に再読して見た。1983年の出版で当時は越田先生はまだ20代。しかし、とても20代のデザイナーの作品とは思えないほど、古代史に対する造詣の深さと、ヒストリカルシミュレーションゲームのデザインに対する見識を感じる。
ゲームシステム的には、マルチでありながら全プレイヤーが1スタックずつ移動していくと言う半同時プレイ進行が独特。しかも、これに対してインターセプトができて、そのインターセプトをまたインターセプトができる。蒲田の某所で10年くらい前に飲んだときに伺った記憶が確かなら、「そういうゲームを作りたかったんですよ」と言われていた。
デザイナーズノートにあるところの「やり残したことは戦術ディスプレイ」という面では、出版後の20年あまりで古代史ゲームの状況は改善したと思う。戦術戦闘の面白さを扱った「グレートバトルズオブアレクサンダー」の登場と、その後のGBOHとしてのシリーズ化、さらにSGBOHの登場、海戦版の「ウォーガレー」、コンバインドの「カエサルアレクサンドリア」、古代史戦でも稀に見る二重大包囲戦「カエサル・アレシア」と続き、そこは果たされたと思う。
SPIのものが決定版かと思われたポエニ戦争も、シモニッチの傑作「ハンニバル」が登場して、カードドリブンという新機軸で歴史的なイベントも盛り込んだ戦略性と、カード式というアブストラクトながらも戦術戦闘要素も盛り込んで、それでいてなおプレイアブルという凄いものができてしまった。
ディアドコイ戦争もAHから「サクセッサーズ」が出版された。ただし、このゲームはエラーが多すぎて結局のところ、今でも「アレクサンドロスの遺産」が同題材の全局ゲームとしてはベストなのではないかという気がする。
折角、読んだのでゲームの方もプレイしてみたいが、時空間が確保できるかどうか?