☆空洞地球を読む

bqsfgame2006-02-04

小学生時代にペルシダーを読んでいたので、なんとなく地球空洞説ものというのは気になって入手していた作品。
ところが、一時のスチームパンクブームのときに、先ず読んでみようと思った「ホムンクルス」が読み辛くて読み辛くて二度三度挫折して結局読みきれずに手放したのが運の尽き。このあたりのスチームパンク系のものは「悪魔の機械」「リヴァイアサン」、本作など軒並み積読になってしまった。
今回、「SFベスト201」の書評を見て、ブレイロック作品は「リヴァイアサン」以外はみな翻訳失敗というコメントや、本作のレビューの誉め方を見て思い直して読んで見ることに。
読んで吃驚! スチームパンクの見せ掛けで始まり、1830年代のアメリカから少年がエドガー・アラン・ポーと出会って地球空洞説の南極の大穴から内部を探検する‥という前半は正にその通り。クラーケンのような殻イカが出てきて、地球内部へ落ちていくところまでは一気に読ませる。
ところが、そこからは珍妙奇天烈なラッカー節が炸裂。地球の内側の球地には奇妙な文化があって、その中心には奇妙な世界があって別の時空へと繋がっていて。そこから鏡地球へ出ると‥あら不思議、そこは‥。後は読んでのお楽しみ。
19世紀半ばのアメリカの人種問題、最新の物理学も持ち込んだ鏡像世界の設定、お馴染みの地球空洞説の冒険物、ポーへのオマージュなど、様々な要素を含みいろいろに読み込むことができる。それほど大作ではないのだが、読み応えたっぷりで、正直に言って球地の中の異文化の辺りでは付いていけなくなるような感じだったのだが、最後に「こちら」に来てから「ははーん、ナルホド!」と手を打ってしまった。
いやいや、なかなかの凄い作品‥(^o^)