WBCの決勝の対戦相手がキューバだったので、なんとなくキューバが舞台のゲームがインスパイアされて取り出してきた。
S&T108号の「リメンバー・ザ・メイン」。1898年にアメリカがスペインを相手に戦って勝った戦争。これで欧米列強の一角と戦って勝ったことでアメリカは世界の外交シーンでポジションを確保したと言われる。その意味で、独立戦争、南北戦争と共にアメリカの台頭期の三大戦争と言われる。
とは言えウォーゲーム界では、ゲームの宝庫である南北戦争、近年、めっきりアイテムが増えた独立戦争と比べて極めて不遇。下手をすると独立戦争以前のフレンチインディアン戦争に最近は知名度の点で抜かれてしまったかも知れない‥(^_^;
その理由の一つがこのゲームで、米西戦争の全体とクライマックスを上手くまとめていて、このゲームがあるために後続のデザイン努力がされないのかも知れない。
米西戦争は両軍の艦船が世界に存在していたこともあり、海戦としては正にグローバル規模の戦いとなった。その一方でカリブのスペイン植民地へのアメリカの上陸作戦からの陸戦も展開されており、陸海のハイブリッド。グローバル海域と、個々の上陸拠点でのミクロ戦闘の連結局面となっている。
マップはそのことを表していて海戦用の戦略マップは大西洋全域を表していて右上にスペイン、左上に北米本土、左下には南米、右下にはアフリカが描かれ、焦点となったカリブが中央にエリア式で描かれている。
フルマップの半分はさらに4分割されていて、焦点となった拠点、ハバナ、サンフアン、チネフエゴ、サンティアゴが描かれている。
ルールは海戦と陸戦のハイブリッドなので分量が多いが、海戦ルールと海戦だけのシナリオ、陸戦ルールと陸戦だけのシナリオが用意されていて分割学習できる。そのため、敷居は実は低い。そして最後に連結して全体がプレイできる。
艦隊戦ではアメリカが優位で、かつての無敵艦隊は速度に勝るが堅牢性が低いので正面衝突は避けアメリカ艦隊のいないところでゲリラ的に暗躍しようとする。アメリカはこれを退治する一方で、どこかのタイミングでスペイン拠点への上陸制圧をしようとする。しかし、そこは拠点防御が堅牢で砲台や雷撃防御システムが待っていたりするので、中途半端な上陸作戦だと戦力を削がれて上陸し、陸ではしょう紅熱に悩まされたりして敗退することにもなり兼ねない。
戦略的に面白く、戦術的な興味もある非常に良いゲームだと思う。
この時期のS&Tは、ワルシャワライジング、ヘイスティングス1066、タイピンレベリオンなど面白いゲームが多く豊作だったと思うが、その中でも忘れられた傑作の一つだろう。
思えば、SFゲームのインペリウムなどは、こういう形のハイブリッドにして、拠点では別のヘクスマップがあって惑星戦闘をやっても良かったのではないかと思う。マクロとミクロのハイブリッド、海戦と陸戦のハイブリッドが上手いバランスでまとまったゲームとして、今でも非常に示唆に富んでいると思う。
ということで、SFゲームでも、古代戦でもないのだが紹介して見た‥(^o^)