レトロ(SL/ASLヴァリアントルール)を入手

bqsfgame2006-06-01

ASLの世界から疎くなってしまっていて知らなかったのだが、「パンツァーシュレック」誌に掲載されたSLやASLを大幅にスピーディーにプレイするためのヴァリアントルールの提案が一冊にまとまったものが、この「レトロ」。
内容や、その狙いについては、以下のページのレビューが良くカバーしている。
http://www.homestead.com/minden_games/Retro.html
SLシリーズは、最初の旧SL単体もしくはAFVの差異を描くためのCOIの前半くらいまでを入れたところが一番良いというのが個人的な意見。ただし、彼の「レッドバリケード」をこのくらいでやろうとしたところ、それでも結構ヘヴィーだった。実際にはもう一つ問題があって、プレイバランスを気にしだすとASLから削除するガジェットがどちらかの軍に一方的に不利に働くとなると、その場の合議では揉めてしまうというのもあった。
いずれにせよ、この「レトロ」は、旧SLよりももっとスピーディーかつシンプルにプレイしようという野心的な試みである。此処までやってしまうと、「レッドバリケード」のキャンペーンもできる‥???
シークエンスは、回復>移動>射撃>防御射撃>白兵戦の5つだけになってしまっている。前進射撃は一切できなくなり、退却や突撃のフェイズもなくなっている。なにより凄いのは、今まで移動の途中でインタラプトしていた防御射撃をなくしてしまい、代わりに躊躇という射撃を受けるリスクの高い地形に入るにはチェックがいるというルールだけにしてしまったのが凄い。さらに、射撃も簡素化していて、今までモラルチェックの結果が出ると、対象のユニットごとにモラルチェックをしていたのを全部やめてしまった。射撃結果が、「モラル7以下のユニットは混乱」とかに自動化されていて射撃結果ロールだけでモラルチェックロールはしないのである。確かにこれは大幅なプレイ時間の短縮になりそう。
これで得られるプレイアビリティが、失われるディティール以上であるかどうかはプレイしてみないとわからない。しかし、コンセプトは凄く良さそうに見えるので一度テストしてみなくてはなるまい。確かにもし上手く機能していれば、今までは容易に手が出なかった規模の大きいシナリオもサクサクできるようになるかも知れない。もちろんプレイバランスなどという五月蝿いことは言わないのが前提だろう。

旧SLのシナリオ1をASL版に改訂したものがジェネラルで発表され、後にASLクラシックに採録されたものをレトロでプレイしてみた。
このシナリオ1は、世界でもっともプレイされたウォーゲームではないかとも言われており、ご存知の方も多いと思う。どこのヘクスからどこのヘクスには射線が通るのか暗記している人も少なくないに違いない‥(^_^;
プレイした感想として、手順が確かにさっぱりしていてプレイ時間の短縮効果はありそうに感じた。ただし、このシナリオは規模が小さく、旧SLのルールでプレイしても慣れれば1時間程度のシナリオなので、その恩恵を痛感するには至らなかった。もっと規模の大きいシナリオをプレイしてみなくては真価は問えないだろう。
ルール的には不明点がやはりでてきて、狂暴兵ルール周りは発生と解消はわかるのだが、実際の行動運用のところは分からなかった。また、シナリオAでは建物の支配権を争うのだが、建物の掃討まわりのルールがレトロにはまったくなく、支配権の定義自体がない。このあたりは決めなければならないだろう。ただ、レトロには隠蔽や隠匿の要素が実はないので、ASLで定義されたような掃討の概念がそもそも必要ない。ここらへんは議論の種になりそうな話しなのでまた改めて。
シナリオ自体はソビエト軍の圧勝ペースで進んだが、最終ターンでソビエト軍の中央から右翼に健在分隊が全くいなくなってしまうという事態が発生して大逆転。ドイツの勝利と言う結果に終わった。