☆マッキンゼー流プレゼンテーションの技術

bqsfgame2006-07-28

正直に言うが、「マッキンゼー流最強の仕事術」が非常に期待ハズレだったので、以来マッキンゼーという言葉を避けて来た。しかし、その中で唯一いまでも役に立っているのが滝グラフ。
そこでマッキンゼーの中でもプレゼン部分だけは役に立つのかもと思って試しに図書館で借りてみた。読んで吃驚! わかりやすくて、非常に要点を突いて簡潔で面白い。もちろんプレゼンは多様な場面で使われるので、当方のように社内プレゼンしかしない人間にとっては不用な部分もなくはないが、それも含めてすっきりと重要な順にまとまっている。
プレゼン技術と言うと、とかくパワーポイントの技であるかのような誤解をしている人が多いが、その本質は本書で最初に書いている通り「なぜプレゼンテーションを行うのか?」ということを正しく認識することにある。その認識に基づいて調査があり分析があり資料作成があり演出があり心理学があり、プレゼンの目的を達成するのだと思う。なんのためにプレゼンをするかが認識できていないまま、相手の聞きたいことではなく自分の喋りたいことを延々と喋ったり、いたずらにパワーポイントの最新機能のショーケースを演じたりする人が如何に多いことか‥(^_^;
プレゼンの目的明示から相手の分析に進むのは当然だが、その次が持ち時間というのはナルホドと思った。時間通りにスタートする、定刻より早めに終わるということの重要性のアドヴァイスは再認識させられた。確かにこの部分が甘いかも知れない。とかく技術者は自分の専門技術の話しになると、必要以上に多弁になって聞き手をうんざりさせることが多い。要注意だと思う。
次は機材、媒体の話しだが、社内プレゼン専門で、いつもパワーポイント+プロジェクター、会議室も決まっていて機材トラブルに足をすくわれる心配がない身には切実感がなかったが、確かに社外訪問プレゼンの人には重大な要素だろう。
その後、プレゼン設計の話しになるが、メッセージ決定、ストーリーライン構成、オープニング、エンディングと進んでいく。そして、資料の見せ方とチャートでの表現はようやくその次に出てくる。
しかもチャートでの表現に出てくるエクセサイズがまた良い。単純なメッセージ課題を、絵でどう表現するか、本書にサッと描いて見なさいと言う方式になっていて、その後に様々な回答例が出てくる。中には目から鱗のものもあるし、誰が書いても同じようなものが出てくる課題もある。この手書きラフをどうエクセルやパワーポイントで描くかは本書の範囲外になっている。この思い切りは素晴らしいが、本書の前に「図解の技術」という別の書籍を出版してあるためらしい。しかし、結果として本書はプレゼンの本質はチャートの描き方などという枝葉末節でないことが明確になって、それが素晴らしさの源泉となっていると思う。
図書館で借りたのだが、これは自分で持っていなければならないと痛感し、早速アマゾンで注文してしまった。テクノロジー的には少し古い本なので最新の機材やチャート作成などから見ると少し古ぼけて見える部分もある。しかし、プレゼンの本質は不変であり、本書はその部分を中心としているので今後も価値を失わないだろう。単なるパワーポイントテクニック本などすぐに陳腐化するが、本書は買って手元に置く値打ちのある希少な書だと思う。