☆レーダーの歴史を読む

bqsfgame2015-08-11

しばらく前に書泉に行った時に、エレベーターの中に広告が貼ってあり興味を持って購入したもの。夏になってバトルオブブリテンな季節になったので読み始めたら、アッと言う間に読み終わった。
これは傑作。バトルオブブリテン、ドイツ本土空襲と言った英独航空決戦のファンなら必読。
第二次大戦の連合軍の勝利に、レーダーが非常に大きな役割を果たしたことは広く知られている。しかし、レーダーは表に出る兵器ではないため、その実相はなかなか見えにくい。特に、その技術開発競争に関する技術的な説明は、ほとんど見かけないように思う。本書は、そうした部分を詳述したテキストブックで、電子兵器入門書としても、航空決戦の技術側面の解説書としても、非常に良く書けている。なお、作者はテレビ技術者だそうで、電波技術の専門家であって、軍事技術の専門家ではない。
率直に言って駄文で紹介しても仕方がないくらい良く書けているので、是非、実物を買って読んで欲しい。
電子戦技術は、言ってみれば裏のかき合いである。相手が、こういう技術を使っているなら、それを妨害する。その妨害を回避する。そうしたことの無限の繰り返しである。さらに、欺瞞工作で、本当に使っている技術を隠すためにダミーの信号を出してみたり、相手の技術を解読しているのに、していないフリをしてみたり。その様相は、暗号戦に一脈通じるところがある。
これを読むと、こういう技術開発戦争の良いシミュレーションゲームが欲しいなぁと思うのだが、なかなか難しいだろうか。ある意味で、一年戦争キャンペーンのモビルスーツ開発競争などは、その路線にあるのだろうか‥(^o^)
また、本書を読むと英独が激しく戦った電子線開発競争が、日米戦争では全くと言って良いほど起きなかったことにも驚く。それは、日本軍が支援兵器軽視だったため、こと電子戦については一方的に敗北したからである。ここにも日本の敗因の一つが浮き彫りになっている。なので、覇者の戦塵では、日本軍の電探技術開発が焦点の一つになる訳だ。
なにか適当はSFモチーフを想定して、こういう技術開発競争のゲームを作れないものだろうかと思うのだが、思いつきとしては良さそうだが完成形に持っていくのは大変そう。