漂流するYEN‥の話し

「マクロ経済環境を読むトレーニング」ということを考え始めたせいか、そういう記事がいろいろと気になって目に入る。日経新聞の7/7の一面の「漂流するYEN」は、改めて通貨価値の持つ意味を考えさせられた。
最近、わりと注目されているのは、日本から海外へ売るものは相手にとって外貨ベースで割安になるので輸出産業は競争力が上がるという部分。これが短期的には輸出企業の競争活力を生んで日本の国内経済の活力を生んでいるという側面。
一方、そろそろ顕在化しつつあるデメリットが、原料を海外から買うと円の価値が低いので円ベースでは高く付くという側面。石油、金属、穀物、食材。ハイテクで利用するレアメタルや、高級食材のマグロなどは、実は日本の買いつけは結構、深刻な事態に陥りつつあるのでは‥。
中間のところで原料価格高騰を吸収して、ようやくデフレから脱出したばかりの日本市場価格には転嫁させないようにしている‥というのが結構多いかと思うが、そろそろ限界では。ガソリンはどんどん転嫁するようになって目に見えるようになったし、鋼材や工事費も個人には見えにくいかも知れないがどんどん上がっている。身近なところではポテトチップは価格据置だが内容量削減‥(^_^; こうした物価上昇圧力はこれからどんどん出てくるのではという気がする。
記事に書かれている中期的に重要な側面は、円の価値が下がることは日本の国際的な地位の低下に繋がっているという指摘。日本の人口減少と高齢化、言い換えれば人口ピラミッドの悪さは極めて深刻。これに当面の新労働力世代の教育水準の低下もあり、あと10年くらいは日本の経済力の低下は続くし、その反映として国際的地位の低下が起こるのは必然かも知れない。
思えば「ジャパンアズナンバーワン」や「NOと言える日本」を踏まえてXTR社が「レッドスカイモーニング」を出した頃は既に遠くなり、すっかりSFになってしまった。当時は悪ふざけと言いつつも、必ずしも洒落にならない部分もあったはずなのだが‥。