○ブラックホール惑星を読む

bqsfgame2007-11-20

石原藤夫博士の惑星シリーズの3冊目。
実は発売当時に新刊で買ったのだが今頃になって読んでいる。奥付を見たら昭和54年。29年前の作品ということになる。隔世の感あり。
今回の目玉は秘書のミドリさんに、サルベージされてきたロボットアール、それと上司たち。なんとなく読んでいると「踊る大走査線」チックな布陣になったかも知れない。
表題作の中編「ブラックホール惑星」は、マイクロブラックホールが実在するかもという当時のトピックをベースに想像を膨らませて悪乗りして書かれた中編。マイクロブラックホールを食すると麻薬的な作用があるというので、それを扱うシンジケートが出てきて‥。惑星シリーズには珍しいハードボイルドな展開かと思いきや、そこはどこまでも惑星シリーズ。
続いてブラックホールがありならホワイトホールがある訳で、最後に番外編とも言える情報惑星を加えた三本立て。個人的には情報惑星の「保存則が成り立つエネルギーよりも増加方向性のあるエントロピー(情報)の方が宇宙の基幹的なパラメータでは?」というのが興味深かった。エントロピーはPKDも囚われていた概念だが、SF的に非常に興味深いテーマなのだと思う。