そう上手く機能しているかどうかは疑問

ベーシックゲームしかプレイしていないのだが、先制攻撃をした方が全面核戦争では非常に有利な印象がある。後手を引いて良いことというのはまったく見当たらない。勝利条件的にもこれを考慮した先制攻撃に対するペナルティは見当たらないようだ。そうなると予算は軍備の展開と質的向上にどんどん突っ込んで先制攻撃を仕掛けてしまうのが勝つための最短距離のように思えてならない。プレイヤーの良識によって核戦争は最後の手段として封印して、地域紛争に先ず邁進しなさいというのがデザイナーの意図なら、デザイナーはあまりにゲーマーの勝つためには何でもするという貪欲さを甘く見ているのではないだろうか。
もっともAHを別格として、往時のウォーゲームメーカーは(今もかも知れない)どこもテストプレイ不足が当然だったので、まぁこんなものかも知れない。プレイしたときの機能不全は置いておくとすれば、全面核戦争を描くのに必要なガジェットだけを切り出し、戦略的な観点で世界規模の紛争を扱ったトーナメントゲームの企画を打ち出したのは1970年代のゲームデザインとしては抜群に進んでいたと言える。
説明しなかったが、地域紛争の解決システムはまるっきりゲーム理論のようなメカニクスになっていたり、質的向上による技術革新が新しいルールを可能にする兵器を導入させたり、他にも注目すべき部分がある。ゲームデザインのセンスとしては、かなり光るものを持つ一作である。