ショートゲームレビュー:南極未来戦争(つづき)

個人的な意見ではあるが、SPIの幾多の傑作の中でいまなお傑作と呼びえるゲームとしては本作が一番バランスが良いのではないかという気がする。
某所にも書いたのだが、本作の良さはバランスである。
つまり、プレイアビリティ、オリジナリティ、リアリティの三種の要素がいちばんバランス良く今に至るも評価できるということである。
SPIのゲームで素晴らしいものは枚挙に暇がないが、巨大すぎたりルールが複雑すぎたりしてプレイアビリティが悪いものというのがかなりある気がする。前者としてはザネクストウォー、後者としてはスタートレーダーが挙げられるだろう。また、WW2や南北戦争のメジャータイトルだと、四半世紀を経てベターな後継ゲームに恵まれ今となってはSPIの作品を発掘するには及ばなくなっているものもある。テリブルスイフトソードなどはこの例だろうか。最後に、SPI時代はまだゲームデザイン技術が発達段階だったので、題材とマッチングしたゲームシステムの選択という点では最適でなかったものもあるように思う。シティファイトなどはその例だと思う。
南極未来戦争は、かなりアクの強いシステムではあるがユニット密度が低くプレイアビリティは確保されている。
題材が突飛なためもあるが、同じようなテーマの作品は、同年代のメタゲーミングの「アイスウォー」と、近年のサヴィタゲームズからの「アンタークティカ」くらいしかなく、どちらもライヴァルとしては見劣りがするので今なお本作が同テーマの最高傑作と容易に言い切れる。
最後に突飛な題材ではあるが、その題材にふさわしいゲームデザインがされている点でリアリティもオリジナリティも優れていると思う。要するに似たような何処にでもあるウォーゲームになっていないのが素晴らしいと思う。