需給バランスと雇用バランスの関係に着目したメカニクス

本作の様々なメカニクスの中でも、とりわけ社会シミュレーションとしての色彩を強く出しているのが、需給バランスと雇用バランスの関係である。
燃料(石油、石炭)と、金属(鉄など)については、当該産業に配置した労働者数と設備した機械によって生産量が定まるようになっている。しかしながら、そのターンに生産した燃料や金属を消費しきることができず余剰にしてしまうと、それにより次ターンは減産圧力が掛かるようになっている。この減産圧力を機械設備の停止で吸収しきれない場合は、労働者の雇用を打ち切って減産しなければならず失業者が発生するようになっている。
農業や工業でも影響するパラメーターの因果関係に違いはあるが、基本的に産業が適切に回っていないと失業者が発生するのは同様である。そして、失業者が発生すると、社会に悪影響が発生するようになっており、その結果、生産性が低下してさらに問題が悪循環する構造になっている。食料の充足ができなくなると飢餓人口が発生し、これはエリアの離反を招くようになっている。離反する場合に、飢餓や失業の状況が悪いエリアから切り放されるので、結果として社会は規模が小さくなったところで、また産業が正常に機能するようになり、再びやり直すことができるようになっている。
このあたりのメカニクスの妙味は、実際にゲームルールを理解して少しプレイしてみないと実感してもらえないかも知れない。1970年代に既にこんなシミュレーションゲームが発売されていたのだとすれば、それから30年も経つのに本当にゲームシステムは進化したと胸を張れるのだろうかとさえ思わされる。