古いゲームなので実物をご存じない方も増えたかろうと思う。
基本的にはゲームターンによる進行なのだが、オスマン軍の行動によってやることが変わってくる。
選択肢の1は、砲撃である。
オスマン軍は砲兵器による砲撃を実施し、それによる損害が城壁の各ヘクスサイドごとに記録される。各ヘクスサイドの損害が6ポイントを越えると、その場所は歩兵が突入できる亀裂を生じたことになる。その後、夕暮れと共にビザンティン軍が修理活動を行う。砲撃ターンは、これだけで終了である。
砲撃が十分な戦果を挙げて突入が可能な兆しが出てくると、第二の選択肢として突撃が考えられる。
オスマン軍は配下の師団をどの戦区に突撃させるかをプロットし、普通の移動/戦闘型のシークエンスを10インパルス繰り返して攻撃を実施する。突入が成功して25戦力が城内に進入するとゲームはオスマン軍の勝利で終了する。
全体のゲームは27ターンある。何回突撃しても構わないので、理論上は全部のターンを突撃すると、合計270インパルスからなるビッグゲームをプレイすることになる‥(^_^; もちろん実際には亀裂がない内に突撃してもしょうがないし、亀裂が十分に生じてからなら史実同様3〜4回も突撃すれば陥落しそうに思える。したがって、現実的にはプレイアブルなサイズにゲームはまとまっているようだ。
突撃をするときは盤端から突撃するので、城壁に辿り付くまでに2インパルスが必要となる。したがって、実際に交戦して突入を試みるのは残りのインパルスの範囲でなければならない。たとえ、途中まで突入しても10インパルスが終わると、夕暮れ撤収するので全てはやり直しになる。
城壁での戦闘では城壁の上から下への射撃が有効なのに対して、下から上への射撃は半分くらいしか効かない。もっとも城壁の防衛部隊の方が数は圧倒的に少ないのだが。そんなこんなで城壁で撃ち合っているとオスマン軍の消耗が激しい。その損耗を省みず突入していくことで、10インパルスの間に血路が開けるかどうかを何度か争う訳だ。
数年ぶりにプレイしたのだが、戦いへの理解が進んだこともあり、ゲームシステム全体の見通しが利くようになったこともあり、以前より面白みを感じることができた。
このフレームワークの中で、戦略的に重要な金角湾へのオスマン海軍の丘越えをヴァリアントで加えて遊べれば、なるほど一度は対戦でやってみてもいいかも知れないという気がしてきた。
小説を読むとどうしてもヴェネツィア贔屓な視点になってしまうが、自軍海軍の弱さを踏まえた上で艦隊の丘越えという奇策を用いたり、まだ海のものとも山のものとも知れない新発明ウルバンの巨砲を採用したりとオスマン側も千年の鉄壁要塞を攻めるに当って工夫を凝らしている。そんなことを踏まえてプレイすると、なかなか味わい深いのではないか。
そして、この時点をもって西欧社会は新しい時代へと突入していくことになる。此処で地中海航路がオスマン帝国の牛耳るところになったことが、西欧のもっとも有能な船乗りたちを新世界へと誘うことになったと考えれば、本作の結末は「コンキスタドール」や「ヴァイスロイ」に続く‥という感じなのかも知れない。