「戦争に非ず殺人なり」をたかさわんと対戦して、南北戦争についていろいろと感じるところがあったので、思いが冷める前にいろいろと書きとめておいたメモをベースに少しまとめてみたい。
まず個人的に好きなマクレランが何故、リンカーンには評価されなかったかという話しから始めてみよう。
南北戦争において、リンカーンは決然と一体の合衆国の維持を目標とし、そのために必要なコミットメントを行い、最終的に目標を達成した。この点について、彼は評価されるべき政治家だと思う。
しかし、最高権力者としての彼が戦場の現場を理解して将軍人事を適正に行ったかどうかとなると疑問を感じざるを得ない。
特にウォーゲーマーは、戦場の現場の実状をゲームから見て入る訳であり、現場の実状から見て健闘したにも関わらず評価されていない将軍や、現場の実状から見て指揮能力の疑問を感じるにも関わらず組織的には出世した将軍などを見ると残念に思うのではないか。
なぜ、このような齟齬があるのかと改めて考えてみると、政治家であるリンカーンが現場に求めるものと、現場の将軍が現場の状況からして提案できることとは異なっているからではないかと思う。
リンカーンは冒頭に書いた通り一体の合衆国の維持を目標としていた。そのためには、諸外国(特に欧州勢力)に対して、「南北戦争は『内戦』であって合衆国政府と合衆国軍はこれを処理する能力がある」ことを明示する必要があった。この目的のためには、アナコンダプランの如き長期持久戦で南部が参るのを待つような消極的な方策は許容しがたかったのではないだろうか。内戦に対処する政府軍として、「速やかに反乱軍を鎮圧する方策」が存在し、それを粛々と実行中であると言うポーズを継続的に示す必要があったのではないだろうか。
[つづく]