☆レイコちゃんと蒲鉾工場を読む

bqsfgame2009-06-11

ちょっと間が空いたが北野勇作
筆者はライトノベルというジャンル全体が苦手なのだが北野作品は面白いと思う。
本作も北野節全開。
蒲鉾工場という舞台で、生物兵器化した蒲鉾を相手に日々怪事件と遭遇する主人公と上司‥という設定だ。
巻末の解説で指摘されているが、「どうやら戦争が戦われているらしく、そのためになんでも兵器として利用しているらしい」ということが北野作品では多く散見される。本書もそうだ。しかし、戦争の経緯も帰趨も、それに蒲鉾兵器がどのくらい効果的なのかもさっぱり語られない。
ここで語られるのはそんな事情で生物兵器化した蒲鉾が存在しており、その工場では蒲鉾を生物兵器化したがために、いろいろと奇妙な事件が相次いでいる‥ということばかりだ。
レイコちゃんも、タイトルになるほど重要な役回りではなく、なかなかタイトルから中身がどんな話しかは想像しにくい作品になっている。
昭和ノスタルジックなテイストが北野作品の一つの特徴だが、その背景に昭和の戦争の影も背負っている印象がある。そして、どことなく生々しく不気味だ。多分に生物でないはずのものが生物兵器化されているためだろうか。