○レダ3を読む

bqsfgame2009-08-28

あっと言う間の1000ページだった。
1982年の連載終了から既に27年。しかし、作品はまったく色褪せていない。
典型的といっても良いような成長小説。詳細に描写されたディストピア未来社会。濃密な主要人物の描写。重要な役割を担い、決してイロモノでないSEXシーン。
栗本薫は、あとがきでおしゃべりが過ぎると思うのだが、本作ではそのあとがきも良く書けていると思う。
あとがきからの抜粋
「ひとことで言えばたぶん私は『好きな小説』を書きたかったのです」
「自分がなにものであるかを知らず、それを求めてさまざまな試練の中をさまよってゆく−それはすなわち『グインサーガ』の主人公グインの主たるモチベイション以外のものではありません」
異論は多々あろうが、個人的には本作こそは栗本作品の最高峰であるとの印象を新たにした。
栗本薫をSF作家に分類する人は少ないだろうが、本作を読む限り彼女は列記としたジャンルSF作家の一人だったと思う。「七人の魔道士」より「メディア9」を読もうかしら。