×トマスモアの大冒険を読む

bqsfgame2009-09-19

「地球礁」と「宇宙舟歌」が面白かったので、実は期待していた。
しかし、残念ながら読みづらくて読み終わるのに2週間も掛かってしまい、最後までとうとう面白くならなかった。
トマス・モアは、聖人で、ヘンリー8世が離婚するために英国国教会を独立したのに反対して処刑された。また、ユートピアの作者としても知られている。
本書では行き詰った未来社会の植民惑星において、事態打破の切札となる次期大統領候補としてトマスモアが過去から召喚される。
未来の植民惑星のユートピアぶりが著述され、そこに巣食う幾多の勢力の奇怪なビジョンが次々に展開される。
きっと高尚な書物なのだと思うが、筆者にはとても理解できなかった。
ストーリーの整合性の不足と、強すぎるバイオレンス風味も、他の長編と同じ欠点がある。
ラファティ作品でストーリーが軽妙洒脱にまとまっているものは、実は希少だという。
生前にKOSさんが指摘していたが、翻訳作品の場合、まずその作者の代表作や傑作から訳され、徐々にネタが尽きてきて質の悪い作品へと翻訳が進む。
ラファティもそういうことだったのかと思うのだが、往年のSFマガジンの掲載短編はどれも素晴らしかったのに、最近は打率が低いなぁ‥と思う。
http://hc2.seikyou.ne.jp/home/DrBr/RAL/tidbits.html