昨年11月に入手したSFゲームの近作。
立て続けにSFゲームを入手してしまったので、滞貨になりそうなのでプレイ時間の短いものから消化してしまうことにした。BGGのプレイ時間表示では60分になっているので、まずコレから。
率直に言って、非常にアブストラクト性の高いゲームだ。いわゆる「ドライ」なゲームで、個人的にはあまり好きになれなかった。端的に言えば、別に題材がSFである必要性がないじゃない‥(^_^;
マップはヘクスタイル方式になっている。一つのタイルがセクターと呼ばれ、そこには1〜4個の星系が描かれている。星系には得点となるポイントが1〜9まで記載されている。
プレイヤーターンには、いずれかのタイルに置かれている自分の宇宙船を1タイル移動させる。そして、宇宙船のあるタイルの1星系に植民するか、軍事基地を設営する。その後、ダイスを振る。ダイスの結果は、いま建設を行ったタイルへの継続的な建設を禁止するか、イベントカードのドロー/プレイを可能にするのいずれかになっている。
あるプレイヤーの建設により、そのタイルの全ての星系が埋まった時には紛争が発生する。そのタイルおよび周囲6つのタイルについて、プレイヤーの軍事基地の所在を確認する。だれか一人しか軍事基地を持っていない場合には、そのプレイヤーが紛争に勝利したことになり対象タイルのコロニー1個を他のプレイヤーから獲得することができる。
紛争はタイルごとに、そのタイルが満員になった時の一回しか解決されない。しかし、上述のように軍事基地判定は周囲のタイルまで見て解決するので、軍事基地はそのタイルと周囲6タイルの紛争で役立つ訳だ。
ゲーム終了時には自分が保有しているコロニーの数値を総計して勝敗を競う。軍事基地は直接は得点にならず、上述の紛争を通じてコロニーを獲得するためにしか役に立たない。
ヘクスタイルには5種類があり、そのヘクスタイルごとに特定の宇宙種族が住んでいる。特定の宇宙種族の住むセクターに、もっとも多く植民しているプレイヤーは、その種族の特殊能力を使用できる。特殊能力はすべてゲーム終了時のボーナス得点になっている。戦争好きで、多くの軍事基地を持っているとボーナスが得られる種族。逆に軍事基地が少ないとボーナスをもらえる種族。セクター内で複数の自分のコロニーを持っているとボーナスが得られる種族。逆にセクター内で他プレイヤーと共存しているとボーナスが得られる種族。最後に、普通は好まれない得点が1点しかない過酷な環境を敢えて好む種族となっている。
これに加えてイベントカードが、多少のプレイ中の小技をもたらしている。
実際にプレイすると分かるが、宇宙船を移動させながらコロニーをクレームしていくだけの、非常に簡単なゲームだ。全員が毎回1個ずつコロニーを建設していくので、もちろん数値の大きい星系を取った方が有利。
しかし、そこに直接は得点にならないが、紛争によって他人のコロニーを奪え、しかも最大で7回の紛争に機能する軍事基地の存在がある。軍事基地をどこに設定し、どういう順番でタイルを満員にして紛争を発生させていくかが綾になる。
また、イベントカードはせいぜい1個のコロニーを余分に得られる程度の能力しかないのだが、全員が1個ずつコロニーを建てていくだけの本ゲームでは余分の1個を得られるのはプレイを直接リードすることに繋がる。ここらへんは、平凡な能力のドングリのせいくらべのゲームでは、ちょっとした魔法でも十分に強力に感じられるという効果を上手に使ったゲームデザインになっている。
ドライではあるが、プレイしたときに十分に作戦的な妙味は感じられるようになっている。
プレイ時間は確かに1−2時間と言ったところで、確実にコロニーが増えて行き盤面が埋まって収束する手軽なマルチである。
トワイライトインペリウム3のような丸一日掛かるような大銀河SFゲームに辟易してしまった向きには進められる作品だと思う。
ただし、SFらしさという点では、「ネクサスオペレーション」あたりよりも落ちるので、そこは理解して選択されること。