○すべての火は火を読む

bqsfgame2010-03-15

ラテンアメリカシリーズ第5弾。
フリオ・コルタサル
コルタサルは、ガルシアマルケス、バルガスリョサカルペンティエールと並ぶ往年のラテンアメリカ文学ブームの四天王の一角。
なるほど、これは面白い。
巻頭の「南部高速道路」は、ディッシュを思わせる意地の悪い現実からの逸脱譚。なかなかの作品だ。短編集は往々にして巻頭に置く短編で印象が決まってしまうが、これが巻頭に置かれているのは秀逸な選択だと思う。
知的で意地の悪い印象は、次の「病人たちの健康」でも強く感じられる。
「コーラ看護婦」、「正午の島」など、文学的なテクニックチャレンジの作品も、個人的な好みではないはずなのだが、興味深く読むことができた。
全体として非常に良い印象を持つことができたので、コルタサルの代表作である「石蹴り遊び」も読んでみたいものだと思うようになった。