はるかなる海へのルールを読む

bqsfgame2013-08-01

シーデビルズ」が、会心のヒットだったので、同じ通商破壊戦テーマの作品と言うことでルールを読んでみた。
率直な感想だが、どうも地雷のような気がする。ルールしか読んでないので、ルールに関する評価しかできないが、ルールの書き方が良くない。
問題点としては、
1:ルールの一貫性が低い。例外規定が非常に多い。
2:例外規定に、わざわざ例外を設ける合理性があまり感じられない。
3:同じような作業に関する記述が何回も繰り返される。原因として、ルールの一貫性が低いために同じ作業としてサブルーチン化できないことがあると思われる。

このゲームは、時代が新しいこともあって様々な史実のエピソードをデザイナーもプレイヤーも知っていることが前提にあるように感じる。そうすると、そうした史実が盤上に再現される仕組みを設けたくなるのが人情。ところが、実際には特殊なレアケースである細部エピソードを、全体をプレイする戦略級ゲームに諸々持ち込んでいくと、細かいルールが増える。そして、細かいルールが非現実な作戦を生まないように、様々な制約を設ける。かくて、ルールは長く例外の多いものになり、非常にプレイしにくくなる。
これは偶に見掛ける事象で、同じようなことを痛感したのがS&Tの「革命の13コロニー」だった。
率直に言って、戦略級ゲームは、戦略的な問題点を再現することが第一で、そのスケールから見て省略すべき細かいエピソードはできるだけ無視した方が良いと思う。近年のカードドリブンのようにカードイベントと言う形で全体のゲームルールを肥大化させずに色々な物が取り込めるようになっているシステムを除けば、これは今でも真実だと思う。
本作は、通商破壊と言う主題を描くためのメインシステムの他に、様々な特殊任務がある。英軍によるドイツ植民地攻撃任務、英軍による船団護衛任務、それらに対する特別な攻撃任務などである。これはWW1の通商破壊戦争の一環として、確かにあって良いものだと思うが、その取扱いが余りに多くの例外を生みすぎている。たとえば、こうした特殊任務では、索敵が自動的に成功したり、奇襲が認められていなかったり、第1ラウンド離脱が認められていなかったり。
あくまで個人的な意見だが、植民地攻撃も船団護衛もそれに対する反撃も、通常の移動、戦闘システムの組合せで実現でき、特別な例外が少ない方が良かったと思う。今の時代のセンスで語るのは酷なのかも知れないが、デベロップ不足と言う印象を受ける。ちなみに、TACTICS版のデベロッパーは亡くなられた石川輝氏である。石川氏と言うと「日本の進撃」、「春の目覚め作戦」のデザイナー。S&T版はデベロッパーが違うそうで、違う仕上がりになっているのかも知れないが手放してしまったので確認できない。
ちなみにデザイナーは、マーティン・アンダーソンで、HJから出ていた「地中海キャンペーン」をデザインしている。このタイトルも切口の独特さから興味があったのだが、本作のルールを読む限りでは期待しにくいかも知れない。
一応、プレイしてみようかどうか迷っているのだが、週末に向けて他の課題が山積しているのでこのままお蔵入りかも知れない‥(^_^;