千葉会:レベルレイダースオンハイシーズを対戦プレイする

ルールを三回読んで、ソロプレイを二回やって当日を迎えました。割と準備良く対戦できたと思います。
陣営を事前に決めていなかったのですが、ダイスで決めて南軍になりました。相手の提督さんには申し訳ありませんが、この時点でなかなか負けないだろうと思いました(笑)。
ゲームの前半戦は、南軍のブロッケードランナーの活躍と、それを阻止するための北軍のスクリュースループ建造の競争になります。初期状態では北軍の海軍の不足が明らかで、ブロッケードランナーは調子よくヨーロッパから南軍港へと物資を運びこみます。この物資は全てVPに換算されます。南軍は他に襲撃船を作ってグローバルに通商破壊戦を実施できます。これもVPに換算されます。得点的には、初期はブロッケードランナーの得点が圧倒的で、南軍は上限の50VPを毎ターン突破するような状況になります。しかし、北軍スループが揃って全ての沿岸海域を占めるようになると、ブロッケードランナーの被害が漸増していきます。さらに、足の遅いガンボートが北から順に港湾封鎖ボックスに配置されてくると、欧州との交易は事実上の終焉を迎えます。代わって、メキシコ湾からカリブ海への交易に移りますが、それも北軍の余剰のスループがメキシコ湾に大量に配置されると終りを迎えます。このへんの北軍海上封鎖戦略が南軍交易を圧潰していく様子は良く出来ていると思いました。
その後は南軍は捕捉されにくい襲撃船に比重を移しますが、襲撃船は数が多くないのでVPは徐々に低下し始めます。
代わって北軍はついに南部への陸上侵攻を始めます。しかし、この時期までには南軍はかなりの枚数のカードを引いており、その中にはロングストリートやジョー・ジョンストンがありました。これらのカードは非常に理不尽で、いずれも北軍がどこかに進攻してくると、「おっとそこにはジョンストン将軍が‥」と登場し、南軍に追加の1ダイスを与えます。ジョンストンは使用後に解任チェックがあるのですが、南軍が勝利する限りにおいて高確率で手札に戻って別の場所で再登場します。ロングストリートに至っては、そのターンはその場所に固定されると言う制限はあるものの毎ターン違う場所に湧いて出て、解任や死亡のチェックはありません。と言うことなので、南軍のダイスは2個が基本ですが、大抵は3個、ターンの最初の防御では4個にすらなり、なかなか北軍は勝てません。このゲームでは1ターンに実施できる北軍の強襲は2回に限定されており、追加の強襲を建艦を犠牲にして買っても最大4回/ターンまでです。で、毎ターンのように1回目は負けるとなると、これは厳しい。しかも、負けると南軍のVPになると言うのですから困ったものです。
結果として、海上封鎖は62年の暮れには完成しブロッケードランナーは沈静化したものの、襲撃船と陸上強襲の失敗によるVPが継続しているので、結局、1863年の夏までプレイしましたが、南軍のVPは依然として46VPの高水準のままでした。
また、南軍の支配都市数が減少しないので、南軍の増援、特に砲台の建設ペースが早く、勝利条件に関わるミシシッピ流域、アトランタリッチモンドにはスタック制限いっぱいの砲台が鈴生りになってしまうと言う状況になりました。
ここで北軍から協議の申し入れがあり、冷静に判断して北軍が勝利の最低条件であるミシシッピ流域支配+アトランタリッチモンドの制圧+南軍VPのマイナス化の全てを達成することは到底不可能と意見が一致し北軍の投了でゲーム終了としました。
本ゲームを気にしていたギャラリーから、どうしたのですか? 北軍のダイスが悪かったのですか? と言うような質問がありました。率直に言って南軍のダイスは多少走っていたかも知れませんが、それほど突出した確率的な偏りはなかったように思います。北軍がグラントもシャーマンも引けなかったのに対して、南軍はジョー・ジョンストン、ロングストリートに加えて、ジャクソン、ボビー・リー、フッド、フォレストと6人の将軍を引き切ったので、カード的な偏りの方が問題だったかも知れません。
ただ、多少の偏りはありましたが、そうした運のせいにするには、あまりにも根本的なバランスが悪すぎるのではないかと言う印象を強く受けました。これは北軍の提督さんも同感だったようです。
とりあえずの結論としては、海戦ゲームとしてアナコンダ戦略の意義をボード上に表現するのに成功しており、そこは一見の価値があります。
しかし、南北戦争の全体を再現するべく陸戦を組入れたことは、この出来栄えでは失敗だと言わざるを得ません。特に、「超人ロック」の「実は生きていた」チェックばりの、北軍が何処を攻めても、突然そこにジョンストンとロングストリートが湧いて出て鉄壁の防御を展開するのには辟易させられます。南軍側をプレイしていてさえ理不尽だと思いながらやっているのですから、北軍から見れば許しがたいでしょう。これに継戦意欲を粉砕されてしまうのではないかと思います。
前にも書きましたが、「プライス・オブ・フリーダム」から日を経ずにして出てくる南北戦争戦略級ゲームとしては、役者不足の誹り(そしり)は免れないでしょう。「海戦ゲームに徹してくれていた方が良かった」と真に思います。かなり期待していただけに残念です。