零戦 搭乗員たちが見つめた太平洋戦争を見る

bqsfgame2013-09-30

今年は零戦に関するコンテンツが多いですが、その中で個人的には一番期待していたし、見るのが辛くもあったBSプレミアムのドキュメンタリーです。
華々しい活躍をし、その設計の秘密に迫る前編については、敢えて語るには及ばないでしょう。多くの日本人のイメージにある零戦は前編の零戦だからです。
予告編の段階で後編は見るに辛い物語だろうと言うのは予想が付き、しばらく我が家のレコーダーのHDDに滞留していましたが意を決してみました。
飛行訓練も不十分なまま着任して早々に特攻を命じられる少年。
軍神として新聞の一面を飾り、報道映画にその名前が大書される。
海軍が主導した葬儀では1000人以上もの人が参列し、国鉄の駅一つ分の行列ができた。
市の役人がやってきて軍神となった記念碑を家の前に建てたいと言う。
その記念碑に毎朝やってきて敬礼していく少年たち。
ところが、終戦になると同じ人たちが、人殺しをしたと広告しているようなものだから立てて置けないと一方的に抜いて処分してしまう。
その少年に特攻を命じた人へのインタビュー。
手塩に掛けた部下に特攻を命じるのは辛くないかと問われて、それは逆ではないですかと言う意外な答えが返ってくる。さらに説明してくれたのは、良く知らない赴任したばかりの人にいきなり明日行ってこいなんて言えんでしょう‥と言う。
特攻の指揮を最前線で最初から終戦まで取り続けた中佐は、沖縄で終戦を迎え生き残って家に帰ってきたという。しかし、公職を追放され、周囲からは白い眼で見られ、最後は仏門に入ったがそれでも周囲の批判は止まなかったと言う。
特攻機と一緒に出動し、その突入と戦果を見届けて報告する任務の人もインタビューに答えていた。終戦直前には自分も特攻する側に回ることになったが、終戦で生き残ったと。終戦後は見届けた同僚の死を遺族に報告して回ったと言う。
とかく戦争の華々しい部分に眼を向けがちなコンテンツも少なくないだけに、眼を向けるのが辛い事実を黙々と収集したドキュメンタリーとして見応えがあったと思う。
多くの人に見てもらい、戦争について考えてもらいたい良作だったと思う。