茨城会:信長後継者戦争を対戦プレイする

プレイしてみました。10:30集合。11:00プレイ開始。昼食は持参で外には食べに行かずに時間節約して、それで19:30までプレイ。結局、第3ターンのイベントによる終了で完全決着までやりました。
正味プレイ時間で8時間。もし最終第4ターンまで縺れていたら、あと2時間は掛かったことでしょう。そうすると10時間コース。感想はいろいろありますが、なんと言っても時間が掛かりすぎです。これをもう一回プレイすることは、まずないかと思います。
ただ、誤解を招くといけないのですが、つまらないと言っているのではありません。プレイすれば、それなりにいろいろと展開され、面白い部分も随所にあります。けれども、何にしても時間が掛かりすぎます。面白さの中には、適度なスピード感があってこそと言う部分も多く、そのスピード感にまったく欠けているので評価はかなり低くならざるを得ません。
要点だけ書くと、筆者は柴田、信雄、徳川、毛利の4勢力を引きました。
主役(?)の明智を引いたのは風見さんで、信孝、滝川、北条の組合せ。最初の呼応チェックのダイスが走っていて、結果として機内を制圧、勝利得点的に独走状態でスタートしました。
K川さんは、残る羽柴、三法師、長宗我部、上杉の組合せ。ゲームは羽柴から始まりましたが、まず備中高松城の水攻めをどうするかの協議から始まります。明智軍が機内で大きく先行して始まったので、早々に羽柴、毛利間は手打ちとなります。さらに、羽柴が瀬戸内側を東進するのに併せて、毛利にも日本海側を東進して欲しい旨の要請があります。柴田、毛利陣営としてはこれに応じて伯耆から但馬へと進入、結果として反逆者となり正統値3点を失いますが、それに見合う国力VPを獲得します。ただ、毛利輝元は行動値が悪く、秀吉のような電撃機動は到底できません。
秀吉の大返しに対抗して明智陣営に与した滝川は、秀吉に与した上杉に対して圧力を掛けます。これによって越後戦線で上杉対滝川の膠着状態が発生します。滝川がこうした動きに出られるのは背後の北条が同じ陣営だからです。
で、越後戦線が膠着したのを幸い、柴田勝家は飛騨に侵入します。飛騨は山間で国力も低く、普通なら魅力がないのですが、誰とも事を構えずに多少ともVPが取れるならよしとしたものです。ところが、これが意外な展開へと繋がりました。
機内では大返しの秀吉と、明智本隊が激突する展開となり、結果として織田家の本来領土でありVP的に価値の高い尾張、美濃が無防備なまま放置されることになりました。で、この地域の東が徳川、北が柴田、南が信雄と、すべて当方陣営の勢力ばかりとなり、結果として柴田勝家は飛騨を経由して美濃に侵入して岐阜城を獲得。さらに尾張へと進んで清州城を獲得しました。これに加えて信雄が伊勢を制圧。尾張、美濃、伊勢で合計15VPを獲得しました。これは都合の良すぎる展開なのですが、なんと今回は明智が近江を制圧して先頭を走ってくれているので、これでもまだ2位であり世界の敵になることもなく順調に中京周辺を制圧して勢力を伸ばします。
秀吉の仇討ちは、進路上の池田恒興の奮闘などもあって実に一年半掛かりとなり、結局は光秀本人を討ち漏らしてしまいます。しかし、それでも明智軍の主力部隊を事実上無力化し、大和、堺を制圧、さらに近江を中立化してしまいました。これによって明智勢力のVPが一気に低下してきて、第2ターンの終りに、ついに柴田連合軍がトップに立ちます。追ってくるはずの秀吉連合軍ですが、毛利軍の裏切りで長宗我部軍が撃破されたり、越後の支配が不安定化したりでなかなか明智を抜いて2位に出ることもできずに苦戦します。
第2ターンの最後に清州会議が実現し、これで終了イベントが有効になり、第3ターンで終わるかもと言う状況で第3ターンが始まります。
この時のカードドローで、実は柴田陣営は2枚の終了イベントを引きました。一方は京と義昭を持っていることで勝利でき、もう一方は岐阜と安土を持っていることで勝利できます。第3ターンの開始時点で弱体化した明智から安土を奪うことに成功し、後者を達成します。そうしておいて、先にもう一方のイベントを打って秀吉を京に引き付けておいて、最終ラウンドの最終手番で後者を打って、既に達成済みですと宣言して勝利しました。
全体としては、秀吉対明智の戦い、それの代理報復戦争である滝川対上杉に巻き込まれることなく漁夫の利を得た形になりました。飛騨から美濃、尾張、伊勢が連続して入手できたのも幸運だったと言えます。柴田+徳川の組合せが理想的に働いたパターンでしょう。
率直に言って、北条の駿河進攻が怖かったのですが、徳川家康の軍事力を恐れたのか顕在化しませんでした。また、明智軍が秀吉に対して長期に渡って抵抗してくれたのも大きく、それが秀吉応援に駆け付ける長宗我部を後ろから毛利で叩くチャンスを作ってくれました。結果から見ると、明智光秀に勝たせてもらった部分が7割、後は終了イベントを2枚タイミング良く引けたのが3割くらいの感じでしょうか。
勝たせてもらったので気分は良かったのですが、それでもゲーム全体の時間が掛かり過ぎだと言う徒労感は拭い去れませんでした。負けた方たちはさらに疲労の色が濃かったように思います。4人用に拡張されると言う話しが予告されていますが、参加者の誰も次は4人戦でリベンジだとは言い出しませんでした。
変な話しではありますが、このゲームをやると如何に「本能寺への道」が優れたゲームデザインであるかをまざまざと見せつけられます。ゲームの醍醐味に無関係な登場人物は省略するかNPCにしてしまい、プレイ負荷とプレイ時間を低く抑え込んでしまうことがどれほどの優れた英断であるか改めて思い知ります。
スタジオぬえの加藤直之氏が、「若い頃は(ディティールを)書き込むことが良いことだと思っていたけれど、年を取るにつれて省略することを覚えてきた」と言っていたのを思い出します。デザイナーの近藤氏には、是非とも省略することの効果を身に着けて欲しい物だと思います。