ゲームシステム

カードが付いていることからカードドリブンと思っている方がいるようですが、違います。カードドリブンを普及させた「ハンニバル」は96年。本作は97年なので、タイミング的にもカードドリブンで作っていそうな印象を受けるので誤解が広がったのでしょう。
システム的には、チットプルアクティベーションの一族になります。
ただし、「激闘マンシュタイン」系列では、チットで指定された司令部が活性化し、その司令部の指揮範囲の部隊が一斉に行動します。ところが、本作では、戦域チットを引き、その戦域内の1スタックを活動します。また、本作では、東部、西部、ミシシッピ、トランスミシシッピと4戦域に分かれていて、両軍とも各戦域には有効なスタックは1つか2つしかありません。ですので、複数のスタックがまとまって軍事行動する激マン系とは全然雰囲気が違います。
毎ターンのコマンド準備フェイズで、プレイヤーは持っているチットからカップに入れるチットを秘密裏に選択します。北軍の方が多くのチットを持っているので選択の自由度が大きく、具体的には同じ戦域で多数回の活動を計画できます。と言っても、ゲーム前半は北軍は指揮官能力の低さに悩まされるので、それを利用して電撃戦を展開したりはできません。
また、各軍に、グラントチットと、リーチットがあります。これは該当する将軍を含むスタック、もしくは該当する将軍の活動中にスタックした下位指揮官の指揮するスタックを行動できるものです。これにより複数のスタックを連続活性化でき、事実上、カードドリブンゲームの「キャンペーンカード」に相当します。
この他に、リンカーンチットと、デービスチットがあります。これらの大統領チットは、指揮官の解任、人事異動を実施します。特に北軍は無能な上級指揮官を解任して行かないと行動能力が上昇しないので重要です。
さらに、鉄道移動チットがあります。このチットを引いた時にだけ2個部隊を鉄道移動でき、他の方法では鉄道移動ができないのが本ゲームの大きな特徴の一つです。
また、北軍には海軍チットがあります。このチットを引いた時に、攻撃艦隊による沿岸要塞攻撃や、河川艦隊の移動を実施できます。南北戦争は、思われているより海軍要素の重要度が高いのですが、そのことを反映した戦略級ゲームは昨年の「レベルレイダースオンハイシーズ」や、S&Tの「シーデヴィルズ」などの海軍にフォーカスしたゲームくらいしかなく、普通の陸戦戦略級ゲームでは珍しい扱いです。
ゲームシステムの効果ですが、事実上、チット選択の時点でターンに実行予定の作戦を決めることになります。いざチットを引いてからは、ほとんど選択肢はありません。これは、該当戦域に有効なスタックが1つか2つしかないこと、さらに活動でできることが移動/戦闘くらいしかないことによります。多くの活性化系のゲームでは、混乱回復とか、補充とか、鉄道移動などもできるのですが、本ゲームではどれも普通の活性化チットではできません。混乱にあたる概念はなく、補充の概念もありません。鉄道移動は鉄道移動チットでしかできません。
(つづく)