○武器製造業者を読む

bqsfgame2015-05-02

ヴォクトです。
「宇宙船ビーグル号の冒険」が良かったと言うのもありますが、アンダースンの「無限軌道」を探していたら遭遇しました。
イシャーの武器店二部作の最初に書かれた方です。
それにしても凄い話しです。
イシャー帝国と言う万世一系の帝国が支配する未来。それに対する永続的カウンターパートとして、個人が自由を守るための防衛兵器を売り続ける武器製造業者というのがあります。
主人公は、武器製造業者側のスパイとしてイシャー宮廷に潜入して女帝イネルダの歓心を惹いてきました。しかし、女帝に正体を見破られ、処刑されることになります。間一髪で武器製造業者の救援部隊が突入して脱出しますが、実は武器製造業者側は別の容疑で彼を処刑するための審問に掛けるために彼を奪回したというのです。かくて、二大勢力が拮抗した未来世界で、両方から処刑されそうになる主人公の大脱走劇が‥。
まるで、イアン・フレミングの小説理論を地で行くかのような仰天の設定と相次ぐ展開です。
事態はさらに空間も時間も越えて展開していき、ワイドスクリーンバロックの原型と呼ぶ人がいるのも郁子なるかなと思いました。
展開が凄すぎて、整合性とか回収忘れの伏線とか、そういうのは言うだけ野暮と言うものです。これを読むと、遠い昔に読んで評価できなかった「非Aの世界」とかも、今から読み直すと面白いのかも‥と不安になるほどです。
遠くない内に「イシャーの武器店」も読むつもりでいます‥(^o^)