☆資本主義の終焉と時代の危機を読む

bqsfgame2015-06-03

茨城会のSinymgさんのお薦め。
図書館で予約したが順番待ち‥(^_^; 読んだら非常に良かったので結局書き込み用に自分で買ってしまいました。
本書では、資本主義の本質は15%の人々が辺境の人々を搾取して富を築くのに都合が良いシステムとして発明されたと説きます。かつては、重商主義であったり、自由貿易であったり、帝国主義であったり。時代と共にその具体的な目標は変わってきたものの、基本は変わっていないというのです。そして、BRICSからネクスト11を経て、いよいよ世界地図には辺境がなくなってきました。かくて、アメリカは証券化と言うテクノロジーを発明してサブプライムローン証券化して、住宅を求める国内低所得者から搾取する仕組を作ったと。
著者は、中国バブルは必ず崩壊し、中国の覇権は成立しないと解きます。中国のインフラ開発に必要な以上の莫大なマネーが中国に群がって過剰投資になっており、中国が成長した時には次に搾取する対象が世界地図には残っていないからといいます。
かくて辺境なき資本主義は終焉を迎えようとしており、常に搾取により成長してきた資本家は、従来のスキームではもう稼げないことを自覚する必要があると説きます。
ですから、アベノミクスのような成長再開戦略は一時的以上には成功するはずはなく、ゼロ成長、ゼロ金利と共存できる新スキームが必要と説きます。
日本は既に人口成長マイナス、金利ゼロが継続しており、新スキームを生み出す最前線にいるはずなのに、そこで昔ながらの経済成長志向戦略を打ち出すのは自殺行為だといいます。
ゼロ成長の時代に、過剰投資を促す政策を打って、不要な設備維持コストと借金金利を背負うのは愚の骨頂だという訳です。
細かいことを省いているので穴がありますが、詳しくは是非とも本書を読んでください。
非常に恐ろしい啓蒙書です。