☆クロノス・ジョウンターの伝説を読む

bqsfgame2015-09-04

梶尾真治の時間テーマの連作短編集。
もともとは第一部のみが雑誌発表され、書下ろしの第二部と併せて単行本化された。さらに文庫化に当って第三部が書き下ろされた。
梶尾作品の時間テーマの短編と言えば、いずれ劣らぬ名作揃い。本書も期待を裏切らない。
実の所、クロノス・ジョウンターは、タイムマシンとしては超欠陥品。遡れるのは5年前まで。行った過去に留まれるのは10分間。その後は反作用で未来に戻されるが、元いた時点には戻れず遡行した年数xのx^2+x年先に弾き飛ばされてしまう。つまり、5年前に戻ると、30年後に弾き飛ばされてしまう。
そんな欠陥だらけのタイムマシンだが、それでも過去へ飛びたいという掛替えのない事情を持つ人がいる。そこが恋に落ちた人々で、三篇すべてがラブストーリーになっている。
どう恋に落ち、どう決着するかは、読んでのお楽しみ。
しかし、書下ろしの第三部の結末は、数ある梶尾作品の中でも屈指の名シーンだと思う。これも読んでのお楽しみと言うことで‥(^o^)