終戦スペシャルドラマ:百合子さんの絵本を見る

bqsfgame2016-08-13

NHKの終戦ドラマは、全部ではないものの良く見ています。今年は7月30日放映でした。
今回は、ストックホルム駐在武官の小野寺夫妻の物語です。諜報作戦が題材になるとは思いませんでした。長年続いてきて題材的に斬新なものが登場したと言う印象です。ちなみに昨年は、黒島結菜の「一番電車が走る」でした。
小野寺百合子は軍人の娘で、軍人と結婚。夫のストックホルム駐在後、しばらく経ってから軍の要請によりストックホルムへ向かいます。夫が本国へ送ってくる情報が、軍上層部の意図とそぐわない弱気なものばかりなので警告するように言われての渡航でした。4人の子供の内、末子を除く3人を親戚に預けて渡航し、結局、終戦後まで再会できません。
小野寺夫妻の仕事は欧州戦の情報を日本に送ること。その時に暗号電文を使用するので、妻の仕事は暗号化と復号化です。この時に、金庫に入れた暗号帳を使った二重方式の換字式暗号を使用しています。サイモン・シンの「暗号解読」を読むと、日本の暗号技術の低さが悲しくなります。
小野寺夫妻はドイツ軍がソビエト国境で攻撃準備をしている情報を送りますが、本国で強い影響力を持つドイツ駐在武官原島吉田鋼太郎)に握りつぶされるばかりか、「ドイツの英国上陸予定日を探って連絡せよ」という不可能なことを要求されます。
戦況が厳しくなるにつれ中立国でも対諜報活動が激しくなり、尾行されたり友人が国外逃亡したりしていきます。
終戦間際、小野寺夫妻はヤルタ協定の情報をつかみ本国に連絡します。しかし、既に米国との講和の仲介をソビエトに依頼する方針を固めていた本国軍部からは無視されてしまい、結果として日本はソビエト参戦で奇襲を受けてしまいます。
戦後、ある出版社の企画で戦時中の海外駐在武官を中心とした座談会があり、その席で小野寺は戦時中の不満を語ります。しかし、その声はそれほど響かず、座談会は表層的なまとめで終わってしまいます。
ちなみに、小野寺百合子は実在の人物で、ドラマ中にも出てきますが「ムーミンパパの思い出」の翻訳者でもあります。北欧駐在の経験を生かした輸入業や翻訳業で戦後は身を立てていたそうです。
それにしても薬師丸ひろ子も50代なのですね。同世代なのだから当たり前なのですが、彼女がこの年まで女優として大成するとは、「野生の証明」の時には思いませんでした。