レニングラード包囲戦:デミヤンスク包囲をソロプレイする

少し前のコマンド付録ゲーム。
オリジナルは、「ヤクトパンテル」誌と言いますから古典と言って良い存在。
同誌のゲームをプレイするのは、初めてだと思います。
レニングラード戦役を題材としたフルマップゲームですが、5つのシナリオでプレイし、通しのキャンペーンはなしです。珍しい作りです。
今回は、シナリオ3のデミヤンスクです。折からレギオンの新作でもデミヤンスク戦が出たので。
全体の感想として、簡単にプレイできて面白いゲームだと思いました。今になって何故と思っていたのですが、これを発掘してきたのはコマンド編集部の慧眼。
システム的には、普通の移動:戦闘系のゲームです。
特徴的なのは、敵ZOCへの進入条件が厳しいことです。以下のいずれかを満たさないと進入できません。
1:敵が河川の向こう岸にいる
2:そのヘクスに既に味方ユニットがいる
3:ZOCを発生している敵スタックと同等以上の戦力を保有している
と言うことは、ドイツの強力スタックが単独で敵地にいても、ソビエトは簡単にはこれに接敵包囲できません。ソビエト軍の反攻を扱うシナリオもあるので、その状況で本ルールがどのくらい効くのかは興味深い所。
デミヤンスクシナリオですが、レニングラード戦役全体を扱う中では、マップの1/4くらいで戦うミニゲームと言った様相。既にデミヤンスクにてドイツ軍は、ほぼ被包囲状態。ソビエト軍は、これに接敵して配置できるようなので、上記の進入ルールの問題は感じません。
勝利条件が独特です。ゲーム終了時に、ドイツ軍に非補給下のユニットがなければドイツ軍の勝利です。
と言うことは、非補給下で生存するくらいなら滅んでしまった方が良いと言うことになります。
また、ドイツの補給源は盤端の他に、本シナリオではデミヤンスクに空中補給があります。ですから、デミヤンスク包囲環が完成するだけではソビエトは勝てません。デミヤンスクの被包囲部隊を寸断して、一部を補給切れにしてゲーム終了まで捕獲維持する必要があります。
かなりトリッキーなプレイ方針を要求される感じです。
本ゲームでは、ドイツは師団規模ですが、カンプフグルッペ3個に分割できます。主戦線の維持と、デミヤンスク守備の両方に部隊を分けると人出不足なので、これを活用するのでしょう。しかし、戦力が下がるので、上記の進入ルールの恩恵は受けられなくなります。なかなか悩ましい。
ソビエト軍としては、どうやってケーキを切り分けるかの問題と感じました。デミヤンスク包囲環を二分してしまえれば、おそらく勝てるのでしょう。ドイツ軍師団は強力ですが、全周を師団で固められるほどの兵力はないので、弱いカンプフグルッペを集中攻撃して後退させ戦闘後前進して切り目を入れていきます。
ちょっと不自然なのは、実は切り分けた結果として、ドイツ軍が補給切れになると、その部分は戦力が半分になるので粉砕可能になります。しかし、終了前に粉砕してしまうと勝利条件を満たさなくなるので、生かさず殺さず。
とは言え、ドイツ側もミニ包囲脱出の試みを最後まで繰り返すことになります。
と言うことで、サイズは小さいのに局所的に攻防の転換が発生して、また進入制限もあって自由には攻撃できずパズリックな仕上がりです。VPGの「ヘルズゲート」に近いでしょうか。
他のシナリオもやってみないと総合評価は言えませんが、なかなか良い感じです。