「アメトーク」の本屋芸人で紹介されてベストセラーになった本です。
「オリジンズ」が盛り上がっている時期に図書館の順番が来ました。
前半は正に「オリジンズ」です。非常に面白く読めます。農業革命についての幻想を看破する辺りがクライマックス。
狩猟採集生活から農業生活になって、労働時間が増えたと言うのは興味深い指摘です。また、栄養バランス的にも悪い方へ移動し、飢饉に対して脆弱になったと著者は説きます。それにも関わらず農業が広がったのは、種として繁栄するために「居住可能な人口密度の上限を上げられたから」と指摘します。オリジンズで言うフットステップの進歩ですね。
穀物についても使役家畜についても、実は人間が利用しているのではなく、利用されているのだと説きます。本来、生育領域が限られていて、また生存競争力が高いとは言えない穀物が、どうやって見渡す限りの平原に生育できるようになったかと言えば、人間を家畜化できたからだと言うのです。
もう一つの観点として、人間がエネルギーを食う脳を発達させる上で、消化吸収の良い煮炊きした穀物を食べるようになって、長い消化管を持つ必要がなくなり、その分の循環器系の負担が減ったので可能になったと説きます。
この「人間が利用しているのではなく、利用されているのだ」という視点は大変興味深く読めました。
後半になると、ネアンデルタールに対して、ホモサピエンスがどうして勝利できたかと言う話しになります。そこでは、社会性、とりわけ架空の概念を不特定多数で共有できる能力が武器だったと説明します。
その架空の概念の例として、上巻では貨幣、帝国を説明して終ります。下巻は、この話しの続きとして宗教から始まるそうです。
アメトークで東野が言っていた通り上巻前半が圧倒的に面白い気がします。カズレーサーは下巻も面白いと言いましたが、これはかなりレベルの高い感想という気がしてきました。ちょっと一冊、間を置いてから下巻に進む予定です。