だいぶ出遅れましたが、無事に読み終わりました。
かなり凄かったです。
ⅠよりもⅡ、ⅡよりもⅢが良かったと思います。
三体艦隊にスパイを送り込む階梯計画から始まります。ペイロードの関係で、人間一人を送り込めず、脳髄だけ送り込むことに。その候補者として選ばれた雲天明。
彼の憧れの人である程心は、面壁計画の一つである抑止理論に基づく三体星系と地球の座標を全宇宙へ送信するボタンを押す権利を持つソードホルダー候補に。天明は彼女に星を一つプレゼントしますが、その思いは彼女に伝わるのか?
一方、三体陣営は抑止を阻止した上での侵攻のチャンスを徹底的に追求し、程心が権限を引き継ぐ瞬間に強襲を仕掛けてきます。
ここら辺が上巻のクライマックスです。
物語はさらに続き、冷凍冬眠した程心が新たな時代に目覚めます。その結果、彼女は三体星系がフォトイド攻撃により壊滅したことを知ります。
さて、これで地球は生き残れるようになったのか?
答えはNOで、先進文明の物理法則攻撃により地球も終末を迎えることになります。
その攻撃の場面を引用しましょう。
下巻 p243
>歌いながら、歌い手は力場触髭で双対箔をつかみ、太陽弾きに向かって無造作に投げた。
このたった一行で太陽系は三次元から二次元へと縮退して滅び去ることになってしまったのです。
本書を読むと、核抑止力と言うのが幻想でしかないということが良く判ります。
あなたが核ボタンを押す気まんまんだとするなら、なぜ「相手は押さないはずだ」などと思えるのでしょう。結論を言えば、最強兵器を持った文明同士の対峙は、両者滅亡以外の結末を迎えることは非常に難しいと考えざるを得ません。