セントラルフロント方面

「セントラルフロント」は、NATOワルシャワ条約機構軍が対峙した東西ヨーロッパ戦線の中央部分。狭義には、西ドイツ軍と米軍の担当境界であるフルダ峡谷がワルシャワ条約機構軍の突破目標だっとされ、この地域を指す。

なんで突然こんな話しになっているかはこちら。

セントラル・フロント・シリーズ、出生の秘密? : ウォーゲームだもの

これをシリーズ名にしたのがSPIのセントラルフロントシリーズ。

全10作で、この戦場を北ドイツ平原からドナウ川まで戦術的作戦級規模で描くというビッグゲーム構想だった。第1作がS&T、第2作がボックスゲームとして発売された。

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中隊規模のユニットで師団規模の攻撃を足止め出来てしまう不具合を見直した第3作が再びS&Tで発売された所でSPIが崩壊。

その後、まったく別のシステムで3W時代のS&Tで第4、第5作が登場して完結。当初の半分の規模となった。

システム的にも不連続となってしまっており、またセントラルフロント全体を描くにはスケール的にも難しい所を選んでしまったため、今ではプレイされるのを見掛けることはほとんどない。

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この前身に当るのがSPIの「ザ・ネクストウォー」でフルマップ3枚で欧州第三次大戦のほぼ全体像が見られた。このスケールになると、航空戦や限定核戦争、化学兵器の投入などが見られたので、結局はこれが一番よかったのではないかと思っている。

往年はこのテーマは人気トピックで、標準サイズのゲームで全体をカバーしたVGの「NATO」もあった。ただ、縮尺が小さすぎて現代戦の特色が感じられなくなってしまったので、VGの中ではイマイチだったと思っている。

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GDWの「サードワールドウォー」は、アメリカではセントラル、サザン、アークティックの三部作として販売され、日本ではHJが一体化してお得価格で販売してくれた。もちろん飛びついて買った。良い点としては、同一システム同一スケールで北から南までやったので、それぞれの戦場の戦闘の粗密が体感できたことが大きい。一方で、セントラルフロントでは大規模部隊がフルスタックして城壁のように並び、アークティックでは部隊の分割ルールをフル活用してユニット数を稼いで拠点を守るということになり、それぞれの戦場に合ったスケールではないため、ちょっと変とも言えた。このシステムで中ソ国境もやるという話しがあった気がするが、会社自体が崩壊。

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セントラルフロントの戦術的作戦級の終着点と個人的に評価しているのが、ウェストエンドの「エア&アーマー」。実は「NATO」のマクスウェルがデザインしているのだが、「NATO」のフラストレーションを完全に補完しているのが「A&A」になっている。現代戦の持つ流動性、部隊の独立行動能力限界の問題などが、盤面に明示されていて感心した記憶がある。