〇累々を読む

作家:松井玲奈先生の第2作です。

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帯の惹句が「松井玲奈が企む『恋愛』小説集」ですが、個人的には「謀らむ(たくらむ)」が語感として適切なのではないかと思いました。

登場人物を共有する5編からなる連作短編集です。 

 「小夜」

結婚を前提に付き合っている彼(葉さん)に、いざプロポーズされてから、「今、結婚してしまって良いか」を悩む主人公。典型的なこじらせ系女子で全然共感できません。

「パンちゃん」

獣医師をやっている主人公にはセフレの年下の女性がいるのですが、彼女には別にちゃんとした彼氏がいます。それは判っていたはずなのに「彼女の特別ななにかになりたくなって」しまい破局します。

「ユイ」

パパ活女子と何人も付き合ってきている主人公。恋愛シミュレーションゲームのように、三択を正しく解いて攻略することに達成感を持っていますが、本当に好きな人には三択が浮かばなくて手も足も出なくなります。集中では本作が一番おもしろく読めました。ゲームねただからですかね。

「ちぃ」

 ずっと好きだった先輩に告白して振られながらもセフレ化してしまう主人公(小夜)。先輩の素敵な女友達にコンプレックスを持ちながらも、三人でつるんでいます。しかし、先輩が自分と同じように好きな人に振られて都合よく扱われているのを見て‥。

「小夜」

小夜と葉さんの結婚式。「なんだ結局、結婚するのかよ‥」と思わないでもありません。

新郎友人にパンちゃんと思しき人物も登場。ドラマの最終回エンディングかよ‥。