☆カリスト-開戦前夜-を読む

いよいよ外惑星動乱です。

カリスト―開戦前夜 (ハヤカワ文庫JA―航空宇宙軍史 260) | 谷 甲州 |本 | 通販 | Amazon

木星の第4衛星カリストは、ガニメデ、タイタンと共に外惑星同盟の主軸です。
そのカリストが開戦を決意していくまでのカリスト内部の政治、開戦準備の話しで長編一冊になっています。
なぜ外惑星同盟が開戦しようとするのか? その勝算はどうなのか? 外惑星動乱が地球-月経済に与えるダメージは‥といった本戦役の背景諸問題が詳細に解説される重要な一冊となっています。
物語的には、タナトス戦闘団の編成、エリクセン准将のクーデターとその鎮圧といった所が主軸になります。エリクセン准将が視点人物なので、どうして開戦してしまうのだろうと悲しい想いで結末を読むことになります。太平洋戦争の開戦と相通じるものがあります。

後の自分のために人物紹介をまとめておきます。

航空宇宙軍史 カリスト――開戦前夜―― (中公文庫) | 谷甲州 | 日本の小説・文芸 | Kindleストア | Amazon

カリスト防衛軍幕僚会議
★ジョージ・ダグラス将軍
カリスト軍の最高位士官。60代。北米系でがっしりした体格。
どちらかと言えば主戦論者。
エリクセン准将
戦略情報部長
様々な情報を収集分析する立場にあるため、外惑星同盟軍が航空宇宙軍と全面衝突したら必敗であると認識している。そのため、現状での開戦には反対。極力、開戦を伸ばして軍備充実を諮るべきと考えている。
主戦派に引きずられて開戦してしまうのはカリスト滅亡への道だと考え、クーデターを起こしてでもそれを止めようと考え、最終的には実行に移すに至る。このため航空宇宙軍に軍事機密を流す「鳥」として内通もしていた。クーデター失敗後、山下准将に思いを伝えたのち自決。
●山下智行准将
警備隊司令官。事実上の陸軍トップ。陸戦隊編成の方針決定を受けてダンテ隊長に陸戦隊のメンバーを集めるように指示した。カリスト軍の戦力に関しては正しい認識をエリクセンと共有しているが、エリクセンのように主戦派と衝突するのは得策ではないと考えており、レア、アナンケの強制接収作戦の実行は止むを得ざる選択と考える。クーデター後に陸戦隊による反乱軍制圧を実施し、エリクセンからカリスト軍の実力を正しく認識した人間に生き残って欲しいと告げられる。
★ミッチナー将軍
カリスト防衛艦隊司令官。
自身の建設した艦隊に思い入れがあり、艦隊は無力だとするエリクセンと全面的に対立する。主戦派の先鋒。
★カリム准将
艦政本部長。
★スヴェイク主席
カリスト主席。政治的トップ。
彼自身は必ずしも主戦論ではないのだが、外惑星の立場に閉塞感を抱いており、ここで立ち上がらなければ何十年経っても事態を打開できないので止むを得ないと考えている。
ギンズバーグ財務部長
財務のエキスパート。開戦を考える上で重要な経済問題に明るい。そのため、シミュレーションを検討しているエリクセンと近しく、クーデターの臨時首班として担ぎ出される。

タナトス戦闘団
ヘロム「ダンテ」フェルナンデス大尉
通称ダンテ。国境警備隊所属。アルテミス宙港で、彼が不審人物を確保する処から本編は始まる。
判断力と現場指揮能力を買われて山下准将からタナトス戦闘団の隊長に任命、少佐に推薦され、隊員集めを開始する。
ローレンス・ブライアント大尉
通称ランス。

カリスト防衛軍、第一艦隊所属。パイロット。ジュノーに赴任予定だったが、アルテミス宙港でのダンテの捕り物に巻き込まれ知己を得た。乗船する便に乗り遅れたので、ダンテに次の便を手配してもらうよう約束してもらったが果たされなかった。その後、ダンテにスカウトされる。この時に少佐の階級を要求、それではダンテと同じ階級になってしまうので、ダンテには中佐をもらって来いと唆した。外惑星防衛戦略の論文も寄稿してエリクセン准将にも一目置かれている。
エミリオ・ロドリゲス軍曹
通称ロッド。戦略情報部の技術軍曹。酒保の飲み代をツケにするべく軍のコンピューターをハッキングしたのが発覚して営巣入りしていた。
コンピューターと情報処理が専門。アルテミスで捕獲された人物が隠し持っていたRAMの解析をアチェベ中佐から依頼され取り組んだ。前任の三人が成果なしだった解読に成功し、能力を買われてダンテにスカウトされた。異動後も作業中止の命令を無視して最後まで解析を実施し、情報を地球側に流していた「鳥」が艦政本部ではなく戦略情報部上層部の人物であることまで突き止めた。
バートラム・ラッセル軍曹
通称ラム。ミザルー・コンプレックス守備隊所属。爆破の専門家。宇宙空間作業資格を持つ。営巣入りしている所をダンテにスカウトされた。
エルネスト・アチェベ中佐
戦略情報部の中佐。ロッドにスパイが持っていたRAMの解析を指示した。アフリカ系移民。完全主義者であり、ロッドとは別に、彼も途中まで解析したRAMの完全解析に関心を持っており、ロッドの作業継続を支援した。
ブロー班長
ランス
パイロット。

 

 

ズ・ヒェン少佐
統合憲兵隊隊長。エリクセン准将がクーデターのために創設した憲兵隊の隊長となったトカゲのような顔の冷徹な士官。