図書館です。
「かどた」さんではなく、「もんでん」さんなのですね。
創元SF短編賞の受賞者だそうです。
一本目を読んだらリーダビリティが良くなかったので放置して「カリスト」を読んでいました。返却期限が迫ったので一念発起して二本目の「銀糸の先」を読んだら、芥川の「蜘蛛の糸」をモチーフにしたなかなかの掘り出し物。頑張って三本目も一気に読みました。
全体としては合格点以上だと思います。
過剰な共感能力を持つ人間を利用して、人の主観記憶を他人にも理解できるように翻訳して記録する職業、インタープリターの珊瑚が主人公です。
一本目は、その記憶保存の本業にまつわるストレートな一本です。記憶保存者が遺言で、相続人に自分に関する記憶を公開するように要求しているという話しです。
二本目は、かなり捻りの利いたサスペンスです。始まりは、インタープリターという特殊な仕事を持つ主人公が名うてのインタビュアーのインタビューを受ける場面から始まります。しかし、なにかがおかしい。実は‥という真相が非常にひねりが効いています。
インナースペースへ潜航する話しなので、ゼラズニイの「ドリーム・マスター」を強く連想しました。同じような設定ですが「不安定な時間」はあまり連想しませんでした。