NHK杯囲碁トーナメント終わる

 決勝戦まで終りました。

 関天元の初優勝でした。

 それも、芝野名人、許十段、最後は一力棋聖を全て自力で撃破しての完全優勝でした。

 令和三羽烏を完全撃破と言うのはスゴイと思います。

 準決勝の許十段戦を見ていて思ったのですが、許家元の強さは一戦交えて読みの力で相手を屈服させるわかりやすい強さです。対する関天元の強さは、布石からいつの間にかリードを少しずつ広げていくわかりにくい強さです。ただ、それでも序盤から中盤に掛けてどんどんAI評価でのリードが広がっていくので、本当にベストの手を適切に選ぶ能力が高いのかなと思いました。

 決勝戦でも同様なことが起こって、劫争いが相次いで起こって難解な中でもじわじわと優勢を築いていく。一旦、90%くらいまで行ってから一力の勝負手で50/50に押し戻されもしましたが、それで慌てることなく再び同じことを繰返して持久戦を制しました。

 さて、恒例により解説者についてコメントしておきます。

勝戦の井山本因坊の解説はさすがでした。毎年解説者としても出てきて欲しいと思うのですが、強すぎて対局過多なのに加えて拠点が関西と言うことで難しいのでしょう。しかし、盤面に現れない背景の読み筋まで含めて解説してくれる抜群の見える力はさすがだと思いました。

 準決勝の羽根九段の解説は別の方向でさすがでした。解説者は、当該対局の紐解きをするだけでなく、それを通じて中級者の指導を果たすべきと言う考え方がしっかりあるように感じました。そういう意味では講座に近いものがあります。