現代世界ノンフィクション全集:スターリングラード決戦記を読む

 亡父の形見です。

 昔から父の書斎に並んでいて、中学の時にその一冊(千の太陽よりも明るく)を読んでいたら父に「あんた、面白そうなのを読んでいるね」と言われて、「なんだ、自分で読んでいないのか」と思った記憶があります。
 このノンフィクション全集は何回か刊行されていますが、我が家のは「現代」が付いているシリーズです。
 父の書庫の整理を妹が進めてくれて普通に見えるようになった(以前は手前に岩波文庫が並んでいて見えなかった)ので、一冊、持ってきました。
 第11巻、この巻のメインはライアンの「史上最大の作戦」です。しかし、西部戦線より東部戦線志向なので、スターリングラードを先ず読みました。作者のシュレータは、本作を原作とする映画「壮烈第六軍!」の脚本も書いた人だそうです。

 本書はスターリングラードのB軍集団上層部の混迷と無定見ぶりを存分に描いており、特にヒトラーの狂気の沙汰としか思えない死守命令についてきわめて批判的に描いています。こんな指導者の下で戦死したドイツ軍は浮かばれません。