図書館。
別件の検索で、バージル・コッパーが引っ掛かり、彼の作品をなにか読もうと思ったら本書に入っているというので。
借りてみたら600ページ近い大冊。そこで、3部に分かれている最後の第3部「現代によみがえるヴァンパイア」だけ読みました。それでも200ページくらい。
△ヴラド伯父さん
吸血鬼のモデルと言われるヴラド串刺し公の親族の青年の話し。
☆ドラキュラ伯爵
映画俳優、コメディアンでもあるウディ・アレンの作品。ドラキュラ伯爵が、皆既日食を夜になったと間違えて昼間に起きて街に出てきてしまい、日食の終了に慌ててクローゼットに隠れるというコメディタッチの一編。
〇十月の西
ブラッドベリーが、ヴァンパイアの血族を扱ったシリーズを書いていたとは寡聞にして知りませんでした。
☆闇の間近で
スタージョンです。スタージョンらしいストレンジテイストですが、あまり怖くはありません。
☆デイ・ブラッド
ゼラズニイです。吸血鬼が人間を捕食する生態系の頂点にいる訳ですが、その上に吸血鬼を捕食するものもいるのでは‥というゼラズニイらしい着想の一編。敵の敵は味方なのですが、食べ物である吸血鬼が減ると困るのでそのものが人間のヴァンパイアハンターを仕留めて回るという‥。
p514
彼はその土地に住む美女、イレイン・ウィルソンを好きになり、彼女のもとに通いつめるようになった。たちまちイレインは例の昏睡に陥り、ノスフェラトゥに変身してしまう。確かに、吸血鬼はあまり多くない。俺個人の考えでは、もう少しいたっていいとは思う。だが、プロドスキィの場合、人口問題のプレッシャーからあんな行動をとったわけじゃない。
p519
「いったい-」それが彼の最後の言葉だった。
オブライエン師が朗読をやめ、聖書ごしにこちらに視線を据える。
「あいつらのために働いてるのか?」
「全然」俺が言う。「だが、俺には連中が必要だ。俺の命の血だ」
〇死にたい
自殺したい吸血鬼が、その強力な特殊能力のために死ねずに困って相談に乗ってもらうという話し。相談相手はなんと狼男で(笑)
☆読者よ、わたしは彼を埋めた!
お目当てのベイジル・コッパーです。クトゥルフ神話体系にも作品が入っているというだけあって、おぞましい怪異に遭遇する話しです。シーマンみたいに吸盤状の口で羊や人間の腹に嚙みついて全身の血液を吸いだしてしまうというナメクジに吸血鬼の頭が着いた妖怪をうっかり追ってしまい、決死の思いで退治して埋めてしまうという話しです。いや、退治できて本当にホッとさせられました。
p534
ここ数年、数多く発表されてきた吸血鬼関係のノンフィクションのなかで、1973年に刊行されたベイジル・コッパーの「伝説の中の吸血鬼、その事実と芸術」ほど取り扱う範囲が広く、調査が行き届いていて、楽しめる本は、ほかにないだろう。
p539
「こんな症例に出くわしたのは、はじめてだ」と、クィンティンはいった。「健康で栄養の行きとどいた羊たちの身体から、血が完全に失われていた」
p548
鋤を手にまえに進みでると、わたしは長くてぬるりとしたナメクジ状の生物が波打ちながら草原を横切っていくのを目にして、いいようのない恐怖をおぼえた。白い胴体はねばねばした液体に覆われて光っており、その先端にはドクター・アーヴィングの頭がついていた。小さい歯が並んだ吸引口で、羊の下腹にむしゃぶりつこうとしている。
×出血者
キングやクーンツと言った現代ホラーの巨匠が敬愛するというリチャード・レイモン。惹句が強すぎて期待外れに終りました。
×ドラキュラ-真実の物語
ドラキュラに拉致監禁された人物が逃走を試みるショートショート。たった4ぺーじなのに、それなりにドキドキさせる腕前は大したものですが、オチはいただけませんでした。