ゲームレビュー:ヴァーチャル

bqsfgame2006-05-29

「ヴァーチャル」は、ファットメシアゲームズの1995年の作品。
カードデック用のプラスチックハードケースに収められている。カードは正方形のスクエアカード、隙間が空くのでそこにハンカチーフのボード、ルール冊子、コマなどを入れるようになっている。
ゲームボードは、電子回路をモチーフにしており、サーキットラインで結ばれたノードから成っており、此処に4×4のメモリーセルが並んでいる。
プレイヤーの目的は、自身の電子回路上の化身アヴァターを操り、メモリーセルにプログラムをインストールする。さらに、ポーンと呼ばれる配下を呼び出したりして回路上で他のプレイヤーと戦い、タテヨコナナメのいずれかに4つ自分のプログラムを並べることを目指す。
カードは全員の共通デックでプレイする方法の他に、各自が自分のセットから選抜してデックを構築してプレイする構築デック戦もできることになっている。と言っても、それほど売れたゲームとも思えず実際に構築デック戦をしているという話しは聞いたことがない。
カードの種類は、メモリーセルに配置するプログラムカード、配下を呼び出すポーンカード、一回使い捨ての効果を持つアクションカードがある。それぞれ「マジック・ザ・ギャザリング」で言えばエンシャントメント、モンスター、インスタントと言ったところか。
アヴァターが20レゾリューションからスタートして、これを使用してプログラムなどをインストールし、戦闘で互いのレゾを削り合うところも「マジック」ライク。決定的な違いは4人で4×4のマス目に直線にプログラムを並べようとするところだろう。
着想は面白いのだが、デベロップメント不足と言うのが率直な評価か。大きな問題点としては、何かしようとするとレゾリューションを削ることになるので、4人のマルチだと何もしないでいて他人が争うのを見ているのがベストな戦略になってしまっている。なんと言ってもこれがゲームを面白くなくしてしまう。現実問題として人数が4人いる間は、4×4のマスで直線を制することは難しく、脱落者が出てからが本番だろう。
もう一つの問題点として、アヴァターやポーンにとって移動力が小さくマップが広くなってしまっている。このため、盤上をシャープにコマが動き回って多様な相互作用をしたりできない。そのため、もったりした感じがあり、電子回路上の戦いと言うモチーフにふさわしくない感じもする。
着想は面白いので、本気でデベロップすれば良くなると思うのだが‥。