エア&アーマーの2番目のシナリオは、ベアトラップ。ワルシャワ軍を熊に見立ててビュルツブルグをワナに見立てたシナリオ。
NATO軍現場司令官は、前面防御の理念は機能しないと考え、ワルシャワ軍を呼び込んでビュルツブルグの都市防衛線に引き込みつつ、その交戦開始のタイミングを狙ってワルシャワ軍の後方補給線を遮断して包囲する作戦を準備した。シナリオのセットアップは、正にワルシャワ軍がビュルツブルグ攻勢を開始しようとしているところから始まる。
ワルシャワ軍、NATO軍とも、このシナリオでは攻撃的な行動を主に要求されているが、全ての部隊に攻撃的なミッションを命じられるほどにはコマンドポイントがない。したがって、段取りを考えて、最初はどこの部分で攻勢に出るか、以下、事態をどう進めて配分していくかを考えることになる。
「橋へのレース」もそうだったが、シナリオの設定が興味深く、C&Cのシステムのもたらすジレンマと相俟って非常に興味深いゲームになっていると思う。時間の都合もあって1ターン目の終了までしかやれなかったのだが、その視点の切口には感心させられる。ギークでいちばん絶賛している人が言うほどにはクリーンで完成度が高いとは思わないのだが、既存のウォーゲームの「当たり前」を改めて問題意識を持って考え直し、様々な疑問符を投げ掛けた作品だと思う。そして、斬新な野心作としては、荒削りでなくそれなりの完成度を持っている。WW3作戦級ゲームを語る上では、一度は見ておかなければいけない一作だと思う。