ショートゲームレビュー:ゲティスバーグ リー最大のギャンブル

bqsfgame2006-09-21

英語版コマンド17号の付録ゲーム。ボンバと共にコマンドの中心人物だったクリス・ペレロのデザイン。日本語版コマンドの付録にもなったが、そちらは未入手。
パッと見た瞬間に違和感があるゲティスバーグゲームだ。理由は、ゲティスバーグ戦では南軍が北から南へと進撃したのだが、この進撃方向を長辺に取るのが一般的。ところが、これは東西方向を長辺に取っている。理由は、数あるゲティスバーグ戦に新作を投入するからには新機軸を目指したかったペレロが、作戦的フレキシビリティを出すために東西、特に東にマップを広げたため。
次にルールで目を引くのがコマンドコントロールルール。毎ターン、指揮官のコマンドスパンに対して2ダイスを振って判定する。南軍だと9以上を出すと自由に攻撃が行える。6から8であれば、既に敵と接触しているところへの支援、接触状態のところに隣接するところでの新たな接触のみが行える限定状態になる。5以下だとパッシブになってしまい、新たな接敵はできなくなってしまう。北軍はこれより1ずつ目が厳しい。南北戦争で指揮官の果断さがしばしば勝敗が分けたことを考えれば、当然あって良さそうな発想のルール。仕組は違うがエポック「関が原」と同じ発想と言って良いだろう。
ここらへんの思惑が上手く働いていれば、ブリゲードレベルでプレイアブルで面白いゲティスバーグがないので自分で作ったんだよ‥というペレロの主張は成功しているかも知れない。
ただ、実際にプレイしていないのでそこらへんはなんとも言えない。個人的に一点懸念するとすればコマンドダイスの影響が非常に大きいので、此処でハードラックに見舞われると文字通り自発的には何もできなくて相手に一方的に好きにやられるリスクがあるのが気になる。チット式にして、全体での機会均等が補償されるような「バトルフォースターリングラード」方式にしないと確率的にではあるが不満だけが残る展開になる懸念を感じる。