南北戦争:49の作戦図で読む詳細戦記

bqsfgame2006-10-06

コマンド誌の南北戦争記事で山内氏が強く推奨していた日本語で読めるウォーゲーマーにとって史料価値の高い南北戦争の全体書籍。
副題にある通り49の作戦図があるところがミソ。著者のシモンズは、米国海軍兵学校歴史学科長で南北戦争の講座を担当していると言う。つまり、この本はその講座のテキストにあたる。道理で普通の歴史書と違って作戦行動図中心なわけだ。
このくらい個々の作戦についてきちんと概略作戦図が載っていると二つの大きな効果がある。
1)通史の南北戦争の局面の、どのタイミング、どの場所で個々の戦いが起こったかが良く分かる
2)どの戦闘にどの指揮官が参画して、どのような行動をしたのか、そしてそれが人事異動にどう影響したかが分かる。
変な話しだが、作戦級や戦術級のウォーゲームを一次資料としているウォーゲーマーは、個々の戦いの部分についてはゲームで非常に詳細なデータをヴィジュアルにも、アクティブ史料としても良く見ているので異常に詳しい情報を持っている。ただ、日本では南北戦争の全体との繋がりを理解する史料がなかったので、戦争全体の流れや、南北戦争で重要だった指揮官人事異動の流れへの影響が把握しにくかった。
本史料はその点を綺麗に解決してくれる良書だと思う。
CWBで個人的には一番好きな「Embrace an angry wind」のフランクリンの戦いなど、正直に言うと全体像の中でどう位置づけて良いかわかっていなかったし、痛み止めの常用で中毒患者に近い状態のフッドがどうして指揮を取っているのかも見えなかったので、そこまで読み進むのかが楽しみだ‥(^o^)