感想

凄いゲームだと思った。価値が不定のものにもっともらしい価格を付けて売買するトランプゲームと言うと、「スペキュレーション」を思い出す。しかし、あちらは最強のカード以外は紙屑になる強烈さを持っていて、限りなく紙屑をもっともらしく売り合うゲームである。
対して「ブラックマーケット」は名前に似合わず、ちゃんと価値があるものを情報を部分的にだが得て売買できる良心的なゲームである。
また、なにより「キャッシュフロー」の重要さをこれほど痛感させるゲームも珍しい。もちろんボードゲームでは古典「アクワイア」や「1830」など含み資産がいくらあってもフリーキャッシュフローがないと辛いという思いをさせるゲームは他にもある。しかし、これほどシンプルに、かつ深刻にフリーキャッシュフローの重要性を感じさせるゲームもないだろう。
また、含み資産をキャッシングさせるAの機能も素晴らしい。古典的会計法の限界と、優良中小企業がなぜ貸しはがし黒字倒産するかを良く理解させてくれる傑作だと思う。
さらに言えば、黒字倒産する会社にたかって優良資産を二束三文で買い付けるバッタ屋ができるのである。なんとも恐ろしいゲームだと思う。
もっともっと広く知られて良い傑作トランプゲームだと思う。