トワイライトインペリウムとサンダーズエッジ

bqsfgame2007-05-10

共にクリスチャン・ピーターセンのヘクスプレイシリーズの出。
トワイライトインペリウムは、初版、二版、三版を経てシャタードエンパイアを加えて完成に至ったと思う。サンダーズエッジは初版にデーモンキャニオンを加えたままで停滞しているが、SGC有志でプレイしてはローカルルールを議論する形で最後にわたしが取りまとめて昨年ほぼ完成形に到達したかと思っている。
どちらもSFマルチの傑作だと思うが、同じデザイナーの作品であり、様々なテイストが共通しているが、その構成の仕方には違いがある。
1)シチュエーションの違い
TIは、スターウォーズ的な世界観の銀河大戦ゲームである。プレイヤーは異なる星間種族を率いているが、一定の交流があり、貿易したり、銀河評議会を形成したりしている。その中で他を制して覇者となることを目指す。
サンダーズエッジは、戦術的作戦級ゲームである。地球連邦の辺境で発見されたワームホールの技術を巡る諸勢力の争いを描いている。サンダーズエッジ現地と、地球と現地を結ぶ航路上の拠点での争いとなる。
2)個性付けの違い
プレイヤーごとの個性付けが顕著なのがTIである。そもそも異なる星間種族という設定なので、最初から極端に違う能力を持っている。これに加えて技術進歩という要素があり、これによって同じような方向性に進むこともあれば、さらに個性の違いが際立つこともある。
一方、サンダーズエッジは、基本的には人類の諸勢力の争いであり、互いに同じ人類なのでそれほど極端な違いはない。技術的な要素はカードで若干盛られているがTIと比較すれば隠し味程度のマイナーなものである。
3)戦闘システムの違い
TIでは同一ヘクス戦闘であり、原則としてプレイヤーは1アクションずつを順番に繰り返す。このため、通常は電撃戦にはなりにくい。ただし、システム的に他のプレイヤーより多くのアクションを確保したり、残したりすることで、事実上の電撃戦を可能にするテクニックは存在しており、決まると劇的な効果を発揮する。
サンダーズエッジは、そもそも電撃戦のゲームである。現代戦戦術的作戦級の延長線にあるかのような兵器システムからなっており、機動力の高い装甲兵力と的確な支援砲撃、さらに縦深突破を可能とする戦闘システムのため、戦線は極めて流動的である。TIでは電撃戦は滅多に見られないからこそ劇的だが、サンダーズエッジは電撃戦また電撃戦で、戦線の流動性が非常に高いこと自体が特徴の一つである。
と同時にサンダーズエッジでは、プレイヤー間の個性は低いのだが、拠点地形を占拠するとその地形に特殊能力が付随している。この特殊能力を使用することでコンボ的なテクニックが存在するため、様々な華やかな戦術が乱れ飛ぶことになる。
4)政治の重要性の違い
TIでは異なる星間種族という相容れないものの寄せ集めである銀河評議会の力はそれほど強くない。TIの政治ルールは強烈だと言う感想もあり、確かに銀河評議会のようなものを持たない武力紛争や資源開発だけの星間マルチと比較すれば政治ルールの存在はインパクトがある。しかしながら、サンダーズエッジと比較すれば、銀河評議会の影響力は大人しいと言える。
サンダーズエッジは、実は戦術的作戦級の見せ方でありながら、政治的に不安定な辺境植民地の政治ゲームだと言っても良い。現地の総督を互選で選ぶのだが、これを歴任することそのものが勝利得点の大きな源泉である。配られる政治カードを実現するために土地を争い、地球の有力者の支援を取り付け、それが達成されると劇的な勝利得点の移動が生じ得る。一見、ウォーゲームとしての部分に目が行くが、実はポリティカルゲームと言っても良いのかも知れない。サンダーズエッジから比較すると、TIはやはり武力衝突に主眼のあるウォーゲームだと思う。特にSE拡張の目標カードで武力的な目標が増えた状態では、なおさらウォーゲーム色が強まったと思う。