☆ストーカーを読む

bqsfgame2008-02-06

1972年のストルガツキー兄弟の作品。
実はわたしはストルガツキーを読むのは初めて。タルコフスキーの同名の映画の方は見たことがあり、以前から気にはしていたのだが、とうとうこんなに遅くなってしまった。
ゾーンという異星人との一時的な接触で形成されたエリアでは不可思議なことが起こり、そこには奇妙で貴重な遺留品が残されている。この遺留品を危険を顧みず侵入してサルベージしてくる職業が「ストーカー」だ。近年はすっかり別の語意で定着してしまったストーカーという単語の表題が誤解を招く部分もあるが、列記としたファーストコンタクトテーマの長編。
特に、異星の生命体と人類の間の懸隔が大きすぎて相互理解など生まれないだろうと言う前提において、レムの三部作などと近い視点。ただし、レムの三部作が異形の相手を描くことに力点があるのに対して、「ストーカー」では相手はまったく登場しない。謎のゾーンと不思議な遺留品ばかりが登場し、むしろそれに振り回されつつも新たな生活を築き上げているゾーンを巡る人々の生活を重点を置いて描いている。ストーカーたち、そこから遺留品を買い付ける研究者たち、取り締まる官憲のものたち。ゾーンのそばの寂れてはいるが決してなくなるわけでもないゾーンの遺留品に寄生した街の様子。
はっきりと読みにくい訳文だと思うが、それを押して読む価値のある一作だと思う。もっと早く読んでおくべきだったと思った。
ストルガツキーの他の作品も探して見なくては。