刑事コロンボを見る(7、8、9)

bqsfgame2013-11-30

7話目は、後にエミー賞女優となるスーザン・クラークが犯人役。頭が良くて性格が悪い女をやらせたら一流と言うクラークですが、計画に齟齬を来した兄殺害を強行、それを結果的に婚約者の証言で破綻させられて捕まります。頭の良さよりも、むしろお嬢様育ちの身勝手さが強く出ていてアンチ好感度の高い演技です。トリック自体は、割と単純です。コロンボが最初におかしいと思う新聞の件は再チェックしないと気づきませんね‥(^_^; だって、玄関で持っていた新聞が寝室に入る時にはなくなっているだけで、ロビーに置くシーンはないんですから‥(^_^;
8話目の死の方程式は、率直に言ってイマイチ。倒叙形式であるコロンボの場合、犯人側の心理劇としての要素が強い。なので、犯人の魅力、トリックの仕掛けと言うのが重要になります。これを前提として、コロンボの謎解きがあるのです。その意味で、この回は犯人の魅力が今一つで、トリックも漠然としている(完璧さに程遠い)気がします。コロンボが犯人のトリックを逆用して嵌めると言うのはシリーズで良く見るパターンの一つで、そこはちゃんと機能していますが。
第9話は、ファーストシーズン最終回に当り、制作サイドも自信作を持ってきたように思います。「パイルD3の壁」。
この作品は、犯人が建築家。被害者はパトロン。少し特殊なのは、金を出し渋るパトロンを殺したいが、死んだことが確定すると遺言で遺産が凍結されてしまうので、失踪扱いにするため死体が絶対に見つかってはならないと言う前提。この前提のもと、絶対に見つからない死体の隠し場所をめぐってコロンボと犯人の駆け引きが面白い。
コロンボは建築家のピラミッドの講義を聞いて、現代版ピラミッドとして死体を高層ビルの基礎に埋め込んでしまったのではと思いつく。失踪日に翌日のセメント注入を待って口を開けていたパイルD3が怪しい。しかし、一旦構築済みの基礎を発掘調査するには、市の建設局の認可が必要で、大変な労力と予算が要る。この辺りのお役所仕事に振り回される描写は、アメリカでもお役所仕事と言うのは同じかと笑わされます。
そこまでして発掘したのに何も出ない。今回はコロンボの負けか? そして、犯人は仮の隠し場所に隠していた死体を再注入が予定されているパイルD3へ。そこで準備万端待ち受けているコロンボ
現代版ピラミッドと言う大掛かりなトリック。コロンボが出し抜かれたのかと思わせるストーリー展開。非常に印象的なエピソードに仕上がっています。小学校時代に見たのが最初ですが、すぐに名前が出てくるエピソードの一つです。
一点、ゴルゴ13論争みたいな指摘をするならば、一旦発掘調査したパイルD3を二度は調査できないだろうと言うアイデアは秀逸。しかし、その発掘調査の大変さを思うと、そもそもコロンボが発掘しない可能性もあるので、その場合には犯人は死体をどうするつもりだったのだろう?と思います。
もちろん犯人が意図的にパイルD3の疑わしさを示唆している部分はあるのですが、それにしてもピラミッドの講義をコロンボが聞いたのは偶然ですし、コロンボのようなしつこい刑事が担当になるとは計画段階では判っていない訳です。すると、掘り返してもらえない可能性は十分あるように思います。そうしたら、別のパイルに埋めるのでしょうか? D3を敢えて掘らないような担当者が相手なら、それでも十分と言う判断でしょうか。そこらへん、コロンボを出し抜いたかと思わせるほどの犯人がやることにしては完璧性に曇りがあるような気もします。何回も見たからそこまで考えるようになったんですが‥(^_^;